５９ ページ9
「やっぱ気まずいよね。」
「全然。」
彼が外にいた事が気になって自分の話をする前に聞いてみたけど、そんなんじゃねーよ。って笑ってた。
ママたちにも聞いてほしくて、入る？って確認すると、うん！って言ってついて来るから、やっぱり気まずかったんだろうなって思った。
「ごめんね。」
「なに？なんか悪い事でもしてきた？」
「んーん、ありがと。」
リビングに入ると、パパがママの肩に手を回して支えてた。
支えるっていうか慰める？みたいな。
ママもティッシュで目元押さえてるしどう考えても泣いてます。って感じの光景。
意味がわからなくてプチパニック。
「なに？え、なんで？」
「おかえり。」
パパと目が合ってそう言う。
冷静すぎてびっくり。
「ただいま、てかほんとどしたの？大丈夫？」
「おかえりー、ごめんごめん。なんでもないの。Aが産まれてきてくれてよかったなーって話してたら感極まっちゃって。」
私の慌てた声にママが涙を拭きながら答えた。
「蓮君もごめんね、気を利かせて外行ってくれてたの。ありがとう。」
「俺はAが心配だったから見に行ってただけです。」
隣にいる彼を見上げると、全然大丈夫。みたいな顔して平然としている。
私の視線に気付いて優しく笑うと背中をとんとんって叩いてくれた。
小さい子供をあやすみたいなそれが妙に安心して、大丈夫なんだなって思えた。
「私も産まれてきてよかったって思うよ。だからもう泣かないで。あのね、あっちゃんがね、」
さっきの出来事を話すと、いつの間にかママの涙も止まってて。
ちょっとだけ気になるけど年取ると涙腺弱くなるって言うもんな。
「ケーキ以外にもいろんなお菓子作ってて、あ、でね、これ蓮の。全然お礼として足りないけどもらってくれると嬉しい。配ってもいいし１人で食べてもいいし、私が食べてもいいし。」
「ははっ、ありがとう。Aにあげるかどうかはちょっと考えさせて。」
って言ったすぐ後に、うそうそ一緒に食べよ。って笑ってた。
「そういえば、あっちゃんが焼き菓子系作り出した時にこれならあいつも食べれますよ。って言ってたわ。A、昔からプレーンのお菓子選びがちだったじゃない？よく覚えてるのね。」
そうなんだ。
やっぱり良い奴なんだな、あっちゃんは。
「やべ、男として負けてる気がする。けど、その友達めちゃくちゃ格好いいな。」
彼の言葉にパパまでうんうんって頷いてた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 656人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちくわ(プロフ) - とかげさん» 返事遅くなってすみません。嬉しすぎるお言葉ありがとうございます。あと少しお付き合いいただけたら嬉しいです。 (8月5日 19時) (
レス) id: a6fdefa27b (このIDを非表示/違反報告)
とかげ(プロフ) - ひとつひとつの言葉選びにセンスがあってとっても好きな作品です。これからも楽しみにしてます！ (8月1日 21時) (レス) @page42 id: 21364ac4e6 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわ(プロフ) - りっぴさん» 返事遅くなってすみません。ありがとうございます。とっても嬉しいです！更新遅いですが頑張りますので今後もよろしくお願いします。 (7月3日 14時) (レス) id: a6fdefa27b (このIDを非表示/違反報告)
りっぴ(プロフ) - こんばんは。真夜中に眠れずふと検索からこの作品に辿り着きました。言葉の一語一句が好みの言葉でどれもドストライクです！展開が楽しみです☺︎更新楽しみにしてます！ (6月30日 20時) (レス) id: 4352324f05 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわ(プロフ) - 千星さん» そんな風に言っていただけて本当に嬉しいです。こちらこそありがとうございます。頑張ります！ (6月25日 3時) (レス) id: a6fdefa27b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちくわ | 作成日時：2023年6月12日 5時
