たまたま君だっただけの話２

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守りたいものが増えた、そんな冬。
目の前にはこないだゆっくり見れなかったイルミネーション。
場所は違うけど、電飾に負けないくらいキラキラした表情で寄り添って歩く人たち。

「中目のイルミネーションって年々派手になってくと思わない？」

隣を歩くサヨの言葉に、うんうんわかるって頷いた。
イルミネーション見に行こって誘ったら私も言おうと思ってた！ってすぐ来てくれた。

「ほんとキレイ。」
「キレイだよねー、Aと見るから余計に。」
「きゅんじゃん。」

へへって笑う可愛い彼女に直接伝えたかったこと。

「あのさ、付き合いました。」
「え？あの人だよね？」

また口ぱくぱくさせてまぬけ顔で確認してくる。
うんって頷くとぱぁって笑顔になった。

「おめでとう！」
「ありがとう。」
「一緒に幸せになろうね。」

キラキラした光にキラキラした彼女の表情。
私もキラキラ出来てるかな。
出来てたらいいな。
イルミネーションだってほんとは隣で見ようとしてくれてたよね。
映画の帰りに歩こうとしてたって。
そんなこと考えてくれてたってだけで私は十分なんだよ。
それが彼にも伝わってたらいいんだけどな。

「あのマスクの人達、見た事ある。」
「有名人？」
「中目だしね。」
「あー、なるほど。私も桜の時期に見たことあるわ。意外と変装とかしてないよね。」
「Aでもわかるって相当じゃん。」
「私もそう思う。」

笑ってるんだけどどこか寂しそうでついつい抱きしめたくなっちゃった。
私も今は十分だって思ってるけど、もっともっとって求めちゃう時が来るのかな。
きっと彼女だってそんなことばっかり考えてるわけじゃないんだろうけど。

「ふとした時にこうくるよね、寂しさが。」

うん、そうだよね。

「でもさ、可愛いんだよ。私が寂しいって言うとどうにか気を紛らわそうって歌ったり変なこと言って笑わせてくれたり。その度にあー好きになったのがこの人でよかったって思うんだよね。」
「素敵だね。」
「Aも我慢しちゃだめだよ。私達が好きになった人は絶対に受け止めてくれる人なんだから。」

それが恋愛ってやつで恋人になるってことだよね。
なかなかうまく出来ない私だけど、大切にしたいからこそ言葉にしなきゃ。
もし寂しくて寂しくてどうしようもなくなったときは伝えてもいいかな？

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