たまたま君だっただけの話２

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「駐車場に車とめてるから俺が行ったら後ろついてきて。」
「うん、わかった。」

そう言ってそそくさと出ていく背中を見つめた。
映画は面白かったよ。
やっぱり大画面で観ると違うよね。
いろいろ考えてたら清掃スタッフの人も来ちゃうし、彼がどこに行ったのかもわからなくなってた。
でたよ、ぽんこつ。
結局スマホに頼らなきゃ。

「ほんとごめん、余韻に浸ってた。」

運転席の後ろ、隠れる様にしゃがんだ。

「いや、あぶねーから普通に座ってて。」
「人混み抜けるまで隠れてる。」

きらきらした光が窓から見えて、あーたぶんけやき坂のイルミネーションだ。

「どう？キレイ？」
「うん、すげーキレイ。」
「そっか、今度サヨと見に来ようっと。てかさ映画面白かったよね！見れてよかった！ありがとう。」
「あー、うん。よかった、また行こうな。」

どこに行くのかわからないけど、止まる気配のない車。
もういいよって言われたから、とりあえずシートには座った。

「助けに来るでしょって思ってたけどどきどきしたよね。」
「わかる、俺すげー手に力入ってた。」

映画の感想言い合いながら気付けば家の近くまで来てて送ってくれるのかなって思ってたら、俺んちでいいよねって。
何気にはじめてなんだよね。
そこだけは踏み込んじゃいけないってずっと断ってた。
でももう流れ的に行く雰囲気。

「行ってもいいの？」
「帰りたい？」
「言い方ずるいと思います。」
「あー、はいはい、俺はまだ一緒にいたいけどAはどうしたい？」

バックミラー越しに合った目。
今日は私もう無理だと思う。
今まで１人で完結してきたこの気持ち。
油断したらぽろっと言っちゃいそうで、伝える以外の選択肢がないんじゃないかな。

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