【短編集】何の変哲もない本丸のありふれた小噺 (ページ6)

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☆連隊戦の訪れ　〆　《こんのすけ/今剣》ページ6

そして暫く、和気藹々と報告も兼ねた談笑を楽しんでいると、ふと思い出したかの様に赤目が管狐を捉えた。

「そういえば、あるじさま。なにかれんらくがはいったのですか？」

こんのすけが居る時には、なにか連絡があるというのはすっかり周知されている様で、隠す通りもないことから「嗚呼。」と返す。
すると目を輝かせて「もしかして、またとくべつなにんむですか？」なんて尋ねてくるものだから、神通力もアテになるものだな、なんて少し肩を揺らしてしまった。

「御察しの通り、政府からの通達があってね。毎年この時期には連隊戦があるだろう。ソレだよ。」

今年は海に行けるそうだ。
ひらり手を振って言えば、今剣はこれまた瞳の中に星を称えて「わあ…！うみですか！」と楽しそうにぴょこんと跳ねる。
気質というのも器に引っ張られるのだろうか、それとも純粋に楽しみにしているのだろうか、なんて邪なことを考えながらくすり此方まで気分がつられていた。

「ぼく、みんなにしらせてきますね！ああ、たのしみだなあ。」

わくわく、わくわくと此方にまで聞こえてきそうな弾んだ声を残して、今剣は見る間もなく消えていた。
短刀の速さについていける様になるというのは、人間体では一生無理な話かもしれない。
そう強く感じながら、審神者は「嗚呼、これでは今日の夕餉までに殆ど全ての刀の間に伝令が行き届いているのだろうなぁ。」と、少しばかり早まってしまった発表に苦い顔を残していたのだった。