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七話目 ページ8

....嫌な夢を見た。

和夫は痛む頭をおさえながら床を抜けた。

乱れた髪、はだけた袷。

それを直そうともせず目を擦る。

ごほごほと咳き込み、陸から貰った梅をほぐし、沸かした湯に入れた。

それを飲み干すと文机の上の原稿用紙に目を向けた。

そこには、先日出来たばかりの話が書かれている。

他人の話を聞き、その虚実入り交じった、汚い話である。


「...クソ、だな」


あんな話を、書くなんて。

あんな話を、待っている人がいるなんて。

自嘲ぎみに笑い、和夫は原稿を封筒に入れた。

ハナは自分の話を読んだら、どう思うだろうか。

そんなことを思い封筒○○りをする。

数ヵ月ぶりに外に出て、ポストへそれを投函した。

宿舎に戻るとき、近所の年増集団が和夫を見ていた。

変なものを見るような目で、ヒソヒソと話している。

和夫は構わず部屋に戻った。

自分の書く話を、思い返す。

幾人もが誰かを恨み、幾人もが誰かを殺す。

この話を読みたがる物好きを思い、彼は楽しげに、ぎこちない笑みを浮かべた。


「さて、今度は誰を殺そうか」

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作者名:走尸行肉 | 作者ホームページ:http://genjitutouhi  
作成日時:2019年1月20日 15時

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