6話目 ページ7
着いたのは、《お食事処 ゆきひら》と書いてある定食屋さんっぽいところ。
食堂の倅って言われてたから、もしかしたらここが………?
「よし、入ってくれ!」
そして調理場へと案内された私。
「よし!作ってくれ!!」
…………強引だな。幸平くんはと言うと、期待の目をしながら隣に立っている。私は、ハァ、と1回ため息をついて、
『作るのはいいけど、私も幸平くんのふりかけごはんが食べたい』
これは本心。幸平くんの審査している時にヨダレが出たのは秘密だけどね。
「……!おう!任しとけ!!」
________________________そうして完成。
「………っ!!!!うめえ…!
村上お前すげーんだな!!」
『いやそれは持ち上げすぎ……』
呆れながら私は、幸平くんの作ってくれたふりかけごはんを口に入れた。
『えっ…………………やば……』
信じられないくらいの美味さだった。煮凝りという発想が思い付くのも信じられなかった。
…実はすごい男なのかも。
「…なあ、村上も家が店とか開いてんのか?」
3つあるうちの2つ目のだし巻き卵を食べながら聞いてきた。
『まあ……こういう食堂じゃなくて…、和菓子屋っていうか』
「和菓子屋?!!ってことは村上は和菓子作れるってことか?」
『うん。和菓子だけは、誰よりも美味しく作れる自信があるの。
……ってごめん、おこがましいよね』
「……いや、俺そういう風に自信持てるのってすげえと思うぜ。
今度、俺にも作ってくれよな」
またニカッと笑いかけてくれる彼。
『もちろん!』
そう言ってもらえるのがすごく嬉しくて、今日一の笑顔になった気がする。
帰り際に、仲良くなった印として、私が(試験の緊張を和らげようと)作ったあんこをあげた。
あ、もちろんタッパーに入れてあるからね。
……………同じ高校じゃなくても、また会えるといいなあ。
少し寂しい気持ちで、私は家へ向かった。
206人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「逆ハー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無し44667号(プロフ) - とても面白かったです!続き読みたい!更新して下さいー!! (2020年5月4日 1時) (レス) id: 52b41a10ca (このIDを非表示/違反報告)
眠井さん(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください (2020年3月27日 4時) (レス) id: 572cac2bfb (このIDを非表示/違反報告)
ミイラ(プロフ) - とっっても面白いので早く続きが読みたいです!更新頑張って下さい! (2020年3月26日 0時) (レス) id: 8b1d0909e8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:式部ちゃん | 作成日時:2020年3月22日 23時