10話目 ページ11
『ゼェ…………………ゼェ……………』
「ハァ……………………ハァ………………」
『ねえ………………極星寮にはまだ着かないの……………………?』
「忘れてた……………………。
この学園アホほど広いんだった………!」
『あぁ…………スルメとあんこだけじゃ無理………私もう腹減ってしぬ………』
そう言って、私は力尽きた。そんな私を彼は抱きかかえた。
「待てぇーー!!生きろ村上ぃーーーーー!!!」
彼の叫び声は、どこまでも響き渡った__________
……これは芝居でも茶番でもなんでもない。
事情を簡単に説明すると、
私と幸平くんは、《極星寮》という学生寮を探して地図に沿って歩いていたのだが、
学園が広すぎて一向に着かないのだ。
かれこれ1時間は歩いてるよ絶対……!!!
「……おっ?見えてきたぞ村上!!あそこが極星寮だ!!!!」
『えっほんとに?!!
…………………………………………お化け屋敷?』
「まじか」
目の前に建っていたのは、超絶豪華な寮とは裏腹に、建物全体には蔦が巻き付き、そこかしこにカラスが泣いている、まさにお化け屋敷のような建物だった。
「とりあえず入るかー」
『う、ん』
幸平くんが進んでドアを開けて、私はそれにゆっくりついていった。
すると、奥から煙が出てきた。
『煙?!もしかして火事じゃ…』
《コラァ208号室!また勝手に空き部屋を燻製室に改造したね!?!
アンタをスモークチップで燻してやろうか!!》
突然、壁の上部分についていたメガホンから、オバサンの怒鳴り声が聞こえてきた。
その刹那、ウサギやら鹿やら、イノシシやらが別の奥の部屋からどんどん出てきた。
『いやもう何!!』
《ジビエを部屋で飼うんじゃないよ116号室!!
次やったらお前の全身の皮を剥いでやるからね!!》
この異常な光景に、私と幸平くんは呆然と立ち尽くす他なかった。
その時、後ろから声がした。
「入寮希望の編入生、
幸平創真と村上(人1)だね…?」
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名無し44667号(プロフ) - とても面白かったです!続き読みたい!更新して下さいー!! (2020年5月4日 1時) (レス) id: 52b41a10ca (このIDを非表示/違反報告)
眠井さん(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください (2020年3月27日 4時) (レス) id: 572cac2bfb (このIDを非表示/違反報告)
ミイラ(プロフ) - とっっても面白いので早く続きが読みたいです!更新頑張って下さい! (2020年3月26日 0時) (レス) id: 8b1d0909e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:式部ちゃん | 作成日時:2020年3月22日 23時