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恐怖する少年の姿は惨めだった。
隅でうずくまって震えている。
とっくの昔に死んだことに気づいているのかは分からない。
けれど、こちらに気づくことなく、ただ「死にたくない」を繰り返し続けていた。
「おい」
声をかける。
びくりと肩を震わせ、少年はゆっくりとこちらを向いた。顔は涙と汗と、その他諸々でぐしゃぐしゃになっている。本当に惨めだ。
「情けねえツラだなァ、そんなに生き延びてえか？」
「……だ、誰？」
恐怖から溢れ出る涙を拭い、少年はあたりを見回している。こちらの姿はまだ認知していないようだ。
「オレサマはフレディ。てめえにチャンスをやる」
「……チャンス？」
「死にたくねえんだろ？ だったら生き返らせてやる」
「い、生き返らせるって……人間は、死んだら終わりなんじゃ……」
「死んだくせに、こんなところでぐだぐだ死にたくねえっつってんのはどこの誰だ？」
少年は言葉に詰まる。死んだ自覚はあったのか。しかし、「でも……」とか細い声で、迷っているような表情へと変わっていた。
「もちろん、てめえをタダで生き返らせるわけにはいかねえ」
「……！？」
「生き返るかわりに、とある奴らをぶっ殺す手伝いをしろ」
「ぶっ……？！」
「これ以上悩むっていうんならオレは別にいいぜ？ てめえが情けなく死んだところで何も……」
「ま、待って！」
少年は立ち上がり、どこか一点を見て叫ぶ。
「ふ、フレディ、さん！ お願いします、……い、生きたいです！！」
震える手を目の前に差し出す。そっちじゃねえよ。
少年を取り巻く黒煙から、こちらも手を伸ばす。
知らない方向に手を伸ばす少年の、右腕を掴んだ。
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