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不意に砂利を踏みしめる音がして振り向くと、砂埃にまみれたレオくんが戻ってくる。メレディスさんの尾が左右に揺れ、表面についた砂を払い落として――水分があるせいか、あまり落ちていないけれど――そんな仕草をしていた。
「…レオくん？」
「……」
戦いで疲れたのだろうか。返事はなく、警戒するような視線を向けられる。
彼は私から目線を外し、全員目を覚ましたことを知るや否や、そそくさと退散し始めた。
「待っ――」
「そこに誰かいるのか？」
様子に気づいたメイジくんが声をかけてくる。
少年と青年が目と目を合わせた瞬間、明らかに少年は後ろに一歩体を引いた。
「…！ 待った、君もしかして…！」
なにかに気づいた様子でメイジくんが近づこうとする。
しかし、レオくんは何も言わず、そのまま逃げるように走ってしまった。その後ろを、何故か楽しげにメレディスさんは追いかけていく。
なんだなんだと野次馬のように悪魔も集まってくる。
「…俺、レオくんが心配だから見に行ってくる」
「え」
「本当に行くの？ あの子、森永くんの事露骨に避けてたけど？」
カノンちゃんが水を差すように問いかけてきた。いつの間に、と周りを見るとジンさんとキュルちゃん以外の全員が集まっている。
「それはそうだけど…さすがにあんなのほっとけないだろ…」
「行くのは勝手にしてもいいけどさー、ガーナくんさっきどこかに行っちゃったよ？」
「はあ！？ ウソだろ！！？ ガーナ！！ 戻ってこぉおーーーい！！」
ゼットさんの言葉にずるずると足を引きずりながら、上半身の力だけで動いていくメイジくん。それをゲラゲラと笑うゼットさん。私はというと、よく動けるな…とつい感心して見つめてしまい、メイジくんを手助けするという発想も忘れてしまっていた。
…こんな事、前にもあったような気がする。
「……姉さん」
「？」
「来た、かも」
前触れもなく、少女の声にその場の空気が固くなる。
いきなり、と思う間もなく、かすかに遠くから地響きのような音が聞こえてきた。
――天使が近づいている。
反対方向に行ってしまったメイジくんの姿はすでにない。
「ボーイズの事、心配している暇はないんじゃない？」
「…！」
「レオなら大丈夫よ。チョコレート色の彼はよく知らないけれど…」
こっち、と呼びかけながら、ジンさんはキュルちゃんと手を繋いでどこかへ走り出す。あとをついて、私も後ろを飛んでいたシエラの手を取り動く。
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