【企画本編】終末戦記 -零- 【奥宮カナデ視点】 (ページ42)

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「改めまして、ご挨拶ね。私は紅襟ジン！あなたのお名前は……」
「は、初めまして、奥宮カナデです」
「カナデって言うのね。オーケー、覚えたわ」

からっと晴れ渡る空のように、眩しい女性の顔を見る。落ち着いた場所で改めて顔を合わせると、ようやく既視感の正体を思い出した。

「あの、もしかして、『TEEN STYLE』8月号の表紙に出てた『JIN』さんですか！？」
「！青い海をバックに撮影したものならきっと私ね！」
「本物！！？あ、あの、いつもあの雑誌のインタビュー記事とか、コーデの参考にさせてもらってます！！」
「フフ、ありがとう！私の事を知ってくれている子に出会えるなんて運命的！」

いつもファッション誌やSNSで見ていた有名人だ。コメントの言葉選びの一つ一つが魅力的で、写真もキラキラと輝いていて、唯一モデルの『JIN』さんだけは毎日追っていた。
そんな憧れの人が自分のピンチを助けてくれて、しかも目の前で気さくに話をしてくれている。思わず握手しようと手を伸ばしかけ――

「これからはファンとしてだけでなく、仲間として協力していきましょうね！」

――勢いよく押し流された。
舞い上がっていた自分の勢いが露骨にしぼんでいくのがわかる。そうだ、今そんな状況じゃない。後ろで誰かがクスクスと笑っていた。
わざとではなかったのか、私が落ち込む姿を見て、一瞬ジンさんはきょとんとしていた。不意に、ジンさんのそばに白い少女が駆け寄っていく。

「……姉さん、いつまでお話してるの？」
「ふふ、ごめんなさいね。同じ目的を持っている者同士、自己紹介はしておかなきゃ」

この子は確か、シエラちゃんを運んでくれたあの子だ。

「この子はキュルっていうの」
「えっと……は、初めまして、キュルちゃん」

声をかけてみるが、すすす、とジンさんの後ろに隠れてしまう。

「あら……ガールにご挨拶してくれないの？せっかくの可愛い顔が見えなくなってしまうわ」
「だって、気安く姉さんに触ろうとしてた……」

ミーハーでごめんなさい。

「…ねえ、いつまでやってるの？情報共有して、天使の討伐に向かうんじゃないの」
「おや。焦っても何もいいことはありませんよ」
「メレディスは黙って」

私だけが気を取り直し、ひとまず今知っている事を一通り二人に教えてもらう。