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思わず目をつむる。その時。
迫った鳥の白い目に、真っ黒いナイフが数本突き刺さる。
一瞬、天使の動きが止まった。今のうちに動こうとして、誰かにその体を支えられた。
光に照らされて輝く銀髪。その光はあまりにも眩しくて。
「……ハロー！ 自己紹介を、と言いたいところだけれど」
女性は軽々と私を横抱きに抱えてしまう。
「のんびりとご挨拶をしている暇はなさそうね！」
「え、うわっ！」
すんでのところで彼女は攻撃をひらりとかわした。
「……間違えたみたい。本物の瞳はこっち？」
大きな衝撃があたりを襲う。私を抱きかかえた女性はどこからか数本のナイフを取り出した。
――いや。ナイフじゃない。懐中電灯だ。煌々と輝く光は、彼女の影を色濃く際立たせる。なんの躊躇いもなく、それを宙に放り投げると、まるでスポットライトのように彼女を照らした。浮き出る黒く濃い影を、彼女は取り出す。現れたのは先程の黒い刃物だった。
反して、鳥の瞳に突き刺さったナイフは形を保てずに崩れ落ちていく。
「ガール、光源を持っていてくれる？」
「わっ……！」
空から落っこちる懐中電灯を手にした頃には、生成されたナイフが飛んでいた。人一人抱えてあそこまで動けるものなのだろうか。……戦闘慣れしている？
影のナイフは明確に、天使の赤い瞳に突き刺さる。けれど、他の瞳がこちらを捉える。瞬間、また鳥の嘴が地面をえぐり取った。
「時間稼ぎの攻撃は無意味のようね。一時撤退が最適解だと思うのだけど、ガールはどう思う？」
「……んっ！？ わ、私ですか！？」
撤退、の一言を聞いて、それしかないとは思ってしまった。けれど、まだ他に。顔をあげて、遠くの二人の方を見る。
「私もそう思います、で、でも……まだ、九条さんと森永くんが……！」
カノンちゃんは。さっきから全然声が聞こえてこない。
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