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「……いやぁぁああああーーーーーーーーッ！！！！！」
女性の叫び声。
それを皮切りに走り出す人々。人間の濁流に飲み込まれていく。一体何が、と目を開く。
空から降り注ぐのは、光り輝く大きな槍。
地上に落ちたものの一部が、赤で染まっている。
途端に、死の匂いが漂う。人間の体液に染まる地面を見て、えずきそうになった。
街路樹をてっぺんから突き破り、駅の天井にも無数に刺さっていく。
カラス一匹、セミ一匹でさえも、槍に貫かれて命を落とす。
考えている暇なんてほとんどなかった。
逃げるのが正しい。でもどこへ？
次の瞬間、また光が落ちてくる。
抜けそうになる力を振り絞り、すんでのところで左に避け、人がたくさん走っていった方へと向かう。痛い。気がつけば、擦り傷がたくさんできている。
赤子と共に貫かれる人。
客を庇って無数の槍に当たった人。
運悪く絶命しきれず、ただ泣き叫び、動けない人。そしてまた死んでいく人。
これは現実？
もしかして夢なんじゃないか。
それとも……
「お嬢ちゃん！ こっちだ！」
「！ はい！！」
「ほら、はや」
声を出した警備員のおじさんの首が飛ぶ。
「あ」
赤が舞う。肉が舞う。
逃げ込んだ建物はもう崩壊寸前で、気がつけばあちこちに人々が転がっている。
槍に破壊され、ようやく止まったエスカレーターには、赤黒く染まった人間が雪崩のように積み上がっていた。
その中に見覚えのある面影を見て、血の気はとうになくなった。
狂いたくても狂えない。正気のはずだけど正気になれない。
どこに。どこに行けばいいの。どうやって。
誰か、誰か！！
伸ばした左腕に、閃光が走る。
一瞬の沈黙と、瞬間的に訪れる激しい痛み。ああ、もう来ている。すぐそばまで。
力の限り走った足は、もう限界が来ていた。
思わず振り返る。
その先にあったのは、淡い虹色の――
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