【企画本編】終末戦記 -零- 【奥宮カナデ視点】 (ページ28)

今日:7 hit、昨日:2 hit、合計:14,641 hit

｜ページ28

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

「……本当にそれだけでいいのか？」
「うん。いつも日曜日の午後に買い物してるから、多分他に備蓄とかもないだろうし……」

お母さんの日記帳を片手に崩れかけの家を離れる。
私の事を心配してくれているのか、森永くんはしきりに私に話しかけてくれていた。

「奥宮、あんまり平気そうに振る舞わなくても……」
「……」
「……悪い」

　そこまで言われるなら、平気そうに振る舞っているように見えるのかな。どれだけ痛々しくても、平気だよって強がっている方が楽なときだってあるのに。その気持ちが顔に出ていたのか、森永くんはバツが悪そうに謝罪の言葉を述べた。本当に人を心配しているときこそ、相手の考えている事がわからなくなるのはよくあることだから、仕方ないとは思うけれど。

「なあ、奥宮。これからどう」

「わっ！！」
「おわっ！！？」

「ごめんね、ちょっと遅れちゃった！」
「あ、うん。大丈夫だよ」
「森永くん、だめだよ～？こういう時こそ、湿っぽい空気はなしなし！」
「これから話題変えようと思ってたところだったんだけどな！！」

で、何の話してたの？
九条さんに尋ねられ、改めて森永くんが話し出す。

「これからどうするか、考えないとだめだよなと思って」
「んー。そうだよね。天使を倒すって言っても、今のところ天使が出てくるような感じじゃなさそうだし」

「……ガーナ、お前天使の居場所とかわからないのか？」
「んぬ……そんなん、知っとったらとっくの昔にやってるに……おみゃーら、悪魔をなんだと思ってるのゃ！」

知らない。そう言わんばかりに全員の視線がガーナくんに向けられた。