閑話休題 ページ27
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閑話休題 笑顔の裏
いつもきれいなことを考えているとは限らない。
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「カノンちゃんさあ、やっぱりいい性格してるよね？」
「……急に何？」
また冷たくされた〜、と悲しそうな声がする。
女はわかっていた。彼の感情は作り物だということも。この現実を面白おかしく見ていることも。本当は嫌悪しかない。彼女にとっては、ある意味同族嫌悪だったのかもしれない。
いつの間にか他の人達と距離を置いて歩いていた。
「なんだっけ、あの子。奥宮カナデちゃんだっけ？」
「そうだね。奥宮さんがどうかしたの？」
「あの子の事、つまんないって思ったでしょ？」
「……」
「取り繕わなくったっていいんだよ？ 俺も最初そう思ったしさ」
「……じゃあ、今は違うんだ」
にっこりと、笑顔を浮かべて見せる。
「露骨にイラついてるね〜」と煽るように言うものだから、思わず蹴り飛ばしたくなる衝動を押さえつけるように、そのへんに転がる石がどこかへ蹴り飛ばされた。
「おぉ〜、怖い怖い。そんなに怒んなくたっていいじゃん」
「いいから本題に入りなよ。尻尾引きちぎられたいの？」
「分かった分かった。
カナデちゃんさ、君みたいに天使を殺そうなんて一ミリも考えてないみたいだよ」
尻尾をつかもうとした手が空を切る。
「……どういう事？」
「そこまで分かったら苦労しないよ〜。でも……君が想定してるような、憎しみだけで動く人間じゃなさそうだよって事」
「……！」
やっと話を聞く気になったみたい？ とゼットは笑ってみせた。
「……そう」
「ねえ、彼女の近くにいたら退屈なんてしないと思わない？」
「それはどうかなあ。奥宮さん、ちょっと流されやすいところがあるし」
「あはっ、分かってるくせに♡」
「いい加減やめてよ、キモいから」
「えぇ〜……」
同じ意見になるのは癪だな、と考えながら、それでも彼女は笑顔を浮かべて言う。
「でもゼットさんとは同意見だよ。このままそばにいた方が、圧倒的に面白くなりそう」
「……アハッ！」
やっぱり考えてる事は一緒だね！
嗤う悪魔にただ彼女は笑っていた。
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