【企画本編】終末戦記 -零- 【奥宮カナデ視点】 (ページ3)

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……擦れた考えは良くないよ、って心の何処かで自分が言っている。知ってるよ。でも私、一人は怖いんだ。

「そんなんじゃないし！！あと一ヶ月は続くから！！」
「いや、一ヶ月だけかよ。あの頃の熱意どうした？」
「片思いは片思いしてる最中が楽しいんじゃん！！」

じゃあ両思いも両思いで楽しめばいいじゃん。
ぎゅうっと口を結ぶ。いっつも思ってる言葉が喉までせり上がってきている。人間関係を自分で破壊するのは良くないって。
ふと、カバンに入れていたスマホの通知が鳴る。そういえば今何時だっけ。あとどのくらいで来るのかな。
確認したら、グループチャットじゃなくて個人チャットに連絡が来ている。

『遅刻とか言い訳したけどさ』
『あの二人と話すのぶっちゃけめんどくない？笑』
『うちらと話し合わんよな笑笑笑』

　しょうもないメッセージの内容に、思わずため息が出そうになる。
どれだけ性格とか相性が悪かったって、遅刻するお前が一番人間として最悪だよ。
そう言ってやりたい気持ちをぎゅっと堪えて、『いいから早く来なよw』と短く返事をした。あとちょっとで15分経つのに。
その証拠に、この瞬間、街中に12時のチャイムが響き渡った。

「あーもうお昼か～」
「結局どこ行くか決めてなかったね」

キラリと、スマホの画面が何かに反射した。こんな時間に誰かライトでもつけてるの？
不意に、周りがざわつき始める。顔をあげると、周りの人達は太陽の方向を向いていた。
指をさして、思い思いの感想を口にする。

なにかの演出かな。
振り返ったその時。
‘それ’は、私達をめがけて落ちてきた。

とっさに避けようとした人が、光に貫かれる。
赤が飛ぶ。

「……え？」

無数に突き刺さる槍に、為す術もなく。
人が人でなくなる瞬間を見て、動けなくなって。