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あと何回通るであろう夜道を踏みしめる。
時折うっすらと視界に入る花々が
私に、春の訪れを知らせた。
「紫耀！」
紫「お。きた」
「何こんな時間に。」
勇太が東京へ戻って
私と紫耀のお別れが近づいていた。
今日の午後も一緒にいたのに、
紫耀はまた深夜の12時になって
私を呼びだした。
紫「きてくれるなんて思わんかった」
「寝れなかったから気晴らし」
紫「ふーん。ほら、こっちおいで。」
すっとわたしの手を引いた紫耀。
そのゴツゴツした手に自分の掌を包ませる。
俗に言う恋人繋ぎ。
紫耀と手を繋いだことは何度もあったけど
恋人繋ぎは何故か照れ臭くて
今までずっと躊躇っていた。
紫「珍しい。それも気晴らし？」
「手だって繋げなくなっちゃうでしょ。
だからこれは特別。普段はやらない。」
紫「永瀬にもやるなよ。」
ふわりと微笑んだ紫耀を横目に
唇を噛み締めた。
そして視界に入ってきた風景にに思わず声が出た。
「......わ、綺麗」
紫「見せたかってん。」
「紫耀はやっぱり見かけによらずに」
紫「ロマンチストやろ？」
辺りには満天の星空が広がっていた。
ここには空を遮る電柱もビルもない。
そこに生まれ出る感情は感動でしかなかった。
紫「花火を思い出す」
「あ、私も少し思った。」
紫「.....浴衣すごく可愛かった」
「.......あ、うん。ありがとう。」
体温が上昇したのが自分でもわかる。
きっと私の頬は今、リンゴのように紅い。
紫「写真。
一緒に撮れば良かったって後悔してる」
「そうだね。私も後悔してる」
紫「どうしてあの時って思うこと沢山ある。
だけど後悔してからじゃ遅いんやな。」
「うん。私も初めから
全部リセットできたらいいなって思う」
お互いの気持ちをさらけ出すのは
今になってはこんなに簡単なことなのに
どうしてあの頃、もっと紫耀に好きを伝えて
あげられなかったのかと後悔する。
そして、直ぐに思い出す。
紫耀はただの浮気相手だからかと。
紫「最近泣かないやん」
「泣いてるよ。紫耀の見えないところで泣いてる」
紫「それ、なんか複雑なんやけど。」
「ねえ紫耀。紫耀の好きって
Likeだった？それともLoveだった？」
こんなことを聞くなんて馬鹿げていると思った。
あざとい女だ。
だけど、それでも確かめたかった。
紫「決まっとるやん。俺はAを愛してる。」
こんな綺麗な夜空を見上げながら
ドラマみたいでロマンチックだった。
今日の夢はこれがいいなと思った。
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ぴ(プロフ) - やばいヤツですね。見つけてしまったこのかなんとも言えな感覚は久しぶりで嬉しいです。深くて深くてまるで溺れるナイフの進化版を読んでいるようです。ラストスパート頑張って下さい。楽しみにしています。 (2017年7月20日 1時) (
レス) id: 4eec252e97 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 更新楽しみに待ってます！占ツクで一番好きな作品です！ (2017年6月28日 23時) (レス) id: 0e9f8935cb (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - 更新楽しみに待ってました！2人が思い合っているのに2人の関係性に読んでいて切なく泣きそうになります。紫耀くん、廉くんどちらとも結ばれて欲しいのが本音ですが、最後にどちらを選ぶのか凄く気になります！大好きな作品なので時間がある時に何回も読み返してます^^ (2017年5月17日 1時) (レス) id: 90116ced49 (このIDを非表示/違反報告)
ちさと(プロフ) - はじめまして。この作品の1つ目はありますか？素敵な作品なので読みたいです！宜しくお願い致します。 (2017年4月23日 10時) (レス) id: 87b7aec49a (このIDを非表示/違反報告)
せなー(プロフ) - 初コメ失礼致します。久しぶりに好きな作風の作品に出会い、更新分まで読ませていただきました。離れなければいけない恋、なんとも切なくて素敵です。これからも更新頑張ってください。 (2017年4月6日 16時) (レス) id: 3c581ac854 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふる
| 作者ホームページ：http://twitter.com/ei_njo
作成日時：2017年4月3日 20時
