144 ページ45
.
「紫耀への餞別は何がいいかな」
勇「なにおまえ、
そんなこと考える余裕あるの？」
「前まではどうしようって気持ちが大きかったけど
今は嘘みたいに吹っ切れてる。」
くよくよしてたって時は来る。
ここで過ごしてきてそれは十分にわかった。
「さっきも言ったけど、今の私にできることは
もう開き直ることしかないの。
あーだこーだ言ったってやっちゃったもんは
仕方ないし、時間だって巻き戻せないから。
でも、ちゃんと反省はしてる。」
勇「A、お前無理してない？」
「無理って何？」
勇「紫耀への気持ちだよ。」
「.....してる。でもそれは仕方がないこと。
元を辿れば全部私が悪いから。
だから多少の無理くらい私だってする。」
私の事はいくらでも犠牲にできる。
だから別にいいんだ。
ただ、心配していることが一つある。
「いくら責められたとしても
私、全責任を負う覚悟はできてる。
だけど、紫耀だけは責めないで欲しいの。」
紫耀は何にも悪くない。悪いのは全部私だ。
同じことを紫耀からよく言われていた。
けどそれは違う、逆だ。
「勇太、幼馴染として
私のお願いを聞いて欲しい。」
普段はおちゃらけている勇太。
だけど、私が紫耀の話をする時は
いつも真剣な表情で
親身になって話を聞いてくれていた。
勇太には一生涯感謝しつづける義務が私にはある。
.
勇「さっきの答えだけど、
おまえ今のほうが断然いいよ。」
全部話終わったあと、
勇太は私に言った。
「悪い女になった私？」
勇「悪い女になりきれないおまえ」
「.......何それ。全然嬉しくない。
私は最後まで悪魔じゃなきゃいけない。」
勇「紫耀にとったらお前は
ずっと天使みたいな存在だろうな。」
「.......勘違いしてる。
私は天使になんかになれない。
私は救ってあげることもできないで、そのまま
捨てちゃうような人だよ？」
勇「悪魔は浮気相手のこれからなんて
気にかけたりなんかしないよ。」
「.......それは」
勇「おまえは優しすぎるんだよ。
もっと自分のことも大切にしろ。」
勇太には全部お見通しだった。
辛くて、ずっと泣きたかった。
だけどもう紫耀の前で泣かないと決めていた。
泣くのはずるいから。
だけど今、勇太の手が私の頭に乗っかった瞬間
何かから解放されたように涙が溢れ出た。
勇「一人で抱え込もうなんてすんなよ。
俺に頼っていいから。」
ああ、そうか。
紫耀を助けてあげたいと思うと同時に
私自身誰かの助けが欲しいんだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1629人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「永瀬廉」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぴ(プロフ) - やばいヤツですね。見つけてしまったこのかなんとも言えな感覚は久しぶりで嬉しいです。深くて深くてまるで溺れるナイフの進化版を読んでいるようです。ラストスパート頑張って下さい。楽しみにしています。 (2017年7月20日 1時) (
レス) id: 4eec252e97 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 更新楽しみに待ってます！占ツクで一番好きな作品です！ (2017年6月28日 23時) (レス) id: 0e9f8935cb (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - 更新楽しみに待ってました！2人が思い合っているのに2人の関係性に読んでいて切なく泣きそうになります。紫耀くん、廉くんどちらとも結ばれて欲しいのが本音ですが、最後にどちらを選ぶのか凄く気になります！大好きな作品なので時間がある時に何回も読み返してます^^ (2017年5月17日 1時) (レス) id: 90116ced49 (このIDを非表示/違反報告)
ちさと(プロフ) - はじめまして。この作品の1つ目はありますか？素敵な作品なので読みたいです！宜しくお願い致します。 (2017年4月23日 10時) (レス) id: 87b7aec49a (このIDを非表示/違反報告)
せなー(プロフ) - 初コメ失礼致します。久しぶりに好きな作風の作品に出会い、更新分まで読ませていただきました。離れなければいけない恋、なんとも切なくて素敵です。これからも更新頑張ってください。 (2017年4月6日 16時) (レス) id: 3c581ac854 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ふる
| 作者ホームページ：http://twitter.com/ei_njo
作成日時：2017年4月3日 20時
