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_________春。

それは待ち焦がれていた季節であり、
また待ち焦がれる季節。
出会いがあれば別れもある。
去年の今頃、私はあの人と出逢ったんだと
机に肘をついてぼーっと考えた。


どうしてだろうか。
沢山念じた筈だ。
どうか別のクラスになれますように。


運命の悪戯、とでも言うべきか。
私とあの人とまた同じクラスになってしまった。
というか、先生も先生だよ。
私達が別れたことくらい
把握してるでしょうが。
どうして気を使うことが出来無いんだ!

.....なんて身勝手なことを考えたり。


思わず、はあ。と溜息が出る。

窓側一番前の席。
嫌という程視界に入ってくる席だよ。
あの人の金色に染められた髪の毛を見ながら
独り言。そっとバーカと呟いてみる。


「何がバカなの?」

ニッコリしながら私の視界に立ちはだかる男。
私、この人知ってる。
確かサッカー部の....

「中村です。1年間よろしくね?」

そうそう中村くん。
すっごくチャラいって舞美が言っていた。
阿部くんみたい。

「最近、別れたんでしょう〜?2人。」

最近ではないけど...うん。別れました。
別れましたけど、頼むからその話は
やめて欲しい。干渉しないでほしい。

「...ねえ!俺と遊んでみない?
来週の土曜とか!どう?」

はあ、そういうことか。
悪いけど、私はそんなに安い女じゃない。

「ねー!聞いてるー?」

中村くんに悪気がないことはわかっている。
けど、平野と別れたから次は俺。
みたいな考えが.....むかつく。
別れたことはそんな生半可な気持ち
じゃなかったんだってば。
理由を知っているのは紫耀と私と勇太くらい。

「ね!Aちゃん♩」

中村くんの手が私の手首に触れる瞬間
反射的に避けようとした。
それと同時にもう1つのゴツゴツした手が
中村くんの手を押さえた。


紫「やめろって。嫌がっとるやろ」

「はー?何?彼氏ズラしてんすかー?」

驚いた。
紫耀が私を助けてくれた。
そう考えただけで胸の内がじわっと熱くなる。

紫「おまえ頭沸いとんのか?」

「....ちょ、痛いって。」

紫耀が手の力を強めた。
中村くん、本当に痛そうだ。

「....紫耀、もういいよ!」

私の言葉にハッとした紫耀。
そして中村くんの方をみて言う。

紫「ええか?こいつに手出したらぶっ殺す。
しっかり覚えとけ。」

「...は、い。」

中村くんは青ざめた表情で教室を出て行く。


「あそこまでしなくてよかったのに。」

今考えれば、
紫耀と会話したのはあの冬ぶりだった。

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設定タグ:平野紫耀 , 永瀬廉 , 神宮寺勇太   
作品ジャンル:恋愛
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(プロフ) - やばいヤツですね。見つけてしまったこのかなんとも言えな感覚は久しぶりで嬉しいです。深くて深くてまるで溺れるナイフの進化版を読んでいるようです。ラストスパート頑張って下さい。楽しみにしています。 (2017年7月20日 1時) (レス) id: 4eec252e97 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 更新楽しみに待ってます!占ツクで一番好きな作品です! (2017年6月28日 23時) (レス) id: 0e9f8935cb (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - 更新楽しみに待ってました!2人が思い合っているのに2人の関係性に読んでいて切なく泣きそうになります。紫耀くん、廉くんどちらとも結ばれて欲しいのが本音ですが、最後にどちらを選ぶのか凄く気になります!大好きな作品なので時間がある時に何回も読み返してます^^ (2017年5月17日 1時) (レス) id: 90116ced49 (このIDを非表示/違反報告)
ちさと(プロフ) - はじめまして。この作品の1つ目はありますか?素敵な作品なので読みたいです!宜しくお願い致します。 (2017年4月23日 10時) (レス) id: 87b7aec49a (このIDを非表示/違反報告)
せなー(プロフ) - 初コメ失礼致します。久しぶりに好きな作風の作品に出会い、更新分まで読ませていただきました。離れなければいけない恋、なんとも切なくて素敵です。これからも更新頑張ってください。 (2017年4月6日 16時) (レス) id: 3c581ac854 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ふる | 作者ホームページ:http://twitter.com/ei_njo  
作成日時:2017年4月3日 20時

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