一夜だけ一緒に

彼の後輩 ページ39

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お腹の子の服を買おうと、子供服屋さんに訪れて、今はその帰り





慎「あ、あの！」





誰かが誰かに声をかけていて、反射的にそっちを見るとその声の持ち主は私の方を向いていた




『はい？』



慎「落としましたよ」



『あ、ありがとうございます』



どうやら私は母子手帳を落としたらしい



大切なものなのに...........





母子手帳を拾ってくれた前髪の毛先が青がかってる男性の顔を見ると、明らかに驚いてる、というか考え込んでる





母子手帳の表紙には特にこれといったものは書いてないのに





『あの、どうしました？』



慎「.....え、あぁ、すみません」



『えっと、ありがとうございました。では』



慎「あ、ちょっと待って！！.....ください」



その場から離れようとしたとき、男性に呼び止められた




呼び止めた割には何か言いにくそうにする男性





慎「あの、いきなりで悪いんですけど、えっと、川村壱馬さん、知ってますか？」





『.....！』







"川村壱馬"






知ってる、忘れたくても忘れられなかった人だもん



この人は壱馬の何？


ただ、下手に口走ったら危険かもしれない




『...........知りません』



慎「知ってますよね」


『ホントに知らないです』


慎「それ、僕の目を見て言えますか？」


『...........』





＿＿＿＿＿＿怖い






そう思ったのはいつぶりだろう




バレそうで怖い




慎「僕は壱馬さんの後輩です」


『そうなんですか』


慎「はい。でも、壱馬さん、３、4ヶ月前ぐらいから元気ないんです」


『それはかわいそうに』


慎「何か知りません？」



だから、知らないっていってんじゃん



『知りません』









慎「...........そんなに言いたくないなら、ここに壱馬さん、呼びましょうか？」




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