一夜だけ一緒に

男の子 ページ33

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歩美「ねぇA、もしその子が生まれたらさ、何て名前つけるの？」



そう聞いて来るのは友達の歩美


壱馬たちと別れてから一緒に住ませてもらってる




名前なんて、そんなのわかんないし


『どうしよ、壱輝とか？壱斗とか？あとは〜、壱也とか？』


歩美「"壱"っていう文字使いたいの？笑」


『えっ？』


歩美「その文字ばっかりだったよ？」


『そう、かな』




そりゃそうだよ、壱馬の子どもだもん




歩美「まあ、いいけどさ？今日あんた診察日じゃない？」


『あっ忘れてた！ごめん、行ってくる』


歩美「いってら〜」









＿＿＿＿＿＿ガチャン









タクシーに乗って病院に行く





看護婦「新井さーん、新井Aさーん」


あの６ヶ月前と何一つ変わらない看護婦さんの呼び方




医師「赤ちゃん元気に育ってますね！あ、お母さん、赤ちゃんの性別わかりましたよﾆｺ」


『どっちですか？』


医師「赤ちゃん、男の子ですよ！」


『男の子...........楽しみです笑笑』


医師「そうね笑笑じゃあまた何かあったら来てくださいね」


『はい、ありがとうございました』



そう言って一礼してから帰る





男の子か、壱馬に似るのかな？



壱馬に似ちゃったら、私毎日泣いちゃうじゃん




今でも毎日のように泣いてるのに、この子が生まれたら





私のなかの水分が全部なくなるくらいに泣いちゃうじゃん









ホントは、今すぐにでも壱馬に「男の子だよ」って伝えたい



普通の夫婦みたいな会話がしたい







でもそれは全部夢に終わる









それならいっそ、ずっと夢の中にいたい








あぁ、私どんだけ女々しいんだろう




でも、愛されることの幸せに、喜びに気づいたから



もう戻れなくなったんだよね







って、こんな風に言い訳する私が







最高に嫌いで







つくづく自分が嫌になる

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