一夜だけ一緒に

気づいた気持ち ページ12

『いらっしゃいませ』



客「おぉ！來ちゃ〜ん、久しぶり〜！」



このお客さんは常連客


周りのおじさんのお客さんよりは若い29歳のお客さん



『最近どうです？』



客「いや〜、それがね〜？......」


『......そうなんですか？！』



そんなこと、1mmも思ってないけど



客「來ちゃんは可愛いね〜、今日も！」

『ありがとうございます苦笑』


こんな人に言われても嬉しくない


どうせなら、壱馬に言われたい





...........って、ダメじゃん

仕事中なのに


客「來ちゃ〜ん、久しぶりにさ〜、どう？」


『いえ、今日はちょっと』


このお客さんはあえて抱かせてとは言わずに"どう"って聞いてくる


客「いいじゃ〜ん、ね？」


『ホントにダメです』



何でか、壱馬に抱かれたあとは誰にも抱かれたくない


もちろん、臣にも


客「そっか〜......じゃあ、また今度！」


『...........はい』



どんだけ飢えてんの





ママ「來、ちょっと」

『ん？うん』


ママのお陰で助かった


ママ「Aもう時間だから帰っていいわよ？あとは私が相手しとくわ」


『うん、ありがと』


ドレスから着替えるとき私の背中に紅い何かが


多分、壱馬がつけたキスマーク


いくら見えないところとはいえ、臣に見つかったら大変だ




でも、壱馬だからかな？


自然と笑みと涙がこぼれる



幸せな夜だったなぁ

もう一度、同じ夜を過ごしたい

壱馬と二人で



"今夜だけでいいから"



不意に壱馬のこの言葉を思い出す


あの夜だけなんだ

もう抱いてくれないんだ


そう思えば思うほど溢れる涙


やっと確信した


私は壱馬が好きだと




そして、

臣がいるのに壱馬に恋した



私がどれだけ勝手な女なのかということが

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