彼なりの優しさ ページ12
.
壱馬が見えなくなるまで見送ってから、私も再び足を前に進めた
日が落ちるのが早いこの時期の部活はもう約一時間前に終わってるから北人もいない
だから一人で寂しく校門をくぐって出た
もうすっかり空気が冷え込んでブルブルと身体中が震える
こんなとき、一緒に手を繋いで温め合える人がいればなぁって思う
できることならそれは壱馬がいい
考え、というか妄想しだしたら止まらなくて、
二人が吐く白い息が空中で混ざり合うほどの距離で会話して、笑いあって、
「寒いね」って言いながらも心の温度は温かい
みたいな感じ。
少女マンガかよ、ってほど王道の設定
こんなこと考えてる自分がキモい
"Aー！"
そんな妄想的なことをしてたらどこか遠くから聞こえる声
間違いなく今、Aって私を呼ぶ声だった
振り返るとそこには勢いよく走ってくる北人
北人はもうとっくにかえってるのと思ってたから、幻覚かと思って目を擦るも、やっぱり北人が走ってくる
え？え？え？え？ってなってる間に北人は私の目の前に来て膝に手をついて息を整えている
『何してんの！？帰ってなかったの？え、待って、何でここにいるの！？』
北人「Aのこと待ってた笑」
『帰ってもよかったのに....』
北人「だって、一人だと寂しいんでしょ？」
『そっ、そんなことないもん』
北人「あれー？小学生の時俺がインフルで早退したときに泣きながら帰ってきたのは誰かなぁ？寂しかったってワーワー泣いてのは」
『それは........』
北人「中学生のときだって、俺がバスケで怪我して一緒に帰れなくなって寂しかったって泣きそうだったのは誰？」
『........私です』
北人「へへ笑笑そういうことだから待ってたんだよ！」
『........ありがと』
照れくさくてハッキリとは言えない「ありがとう」だけど、北人には届いたみたいで
北人「当たり前じゃん」
って優しく微笑んでくれる
いつもふざけて無邪気な子どもみたいな北人だけど、微笑んだ北人の顔は大人らしくて、北人がいてよかった、そう改めて思う
北人「帰ったら宿題見せて？笑笑」
『それはこっちのセリフ笑笑』
ここに壱馬がいたなら、
『今日は何食べよっかなぁ』
北人「俺の分も作ってくれる？」
こんな会話が壱馬とできたなら、
北人「今日行ってもいい？」
『え〜、どうしよっかな〜笑笑』
毎日のように家に来るのが壱馬なら、いいのにな
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 722人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぴーゆい(プロフ) - 確かに､あの人の愛が欲しいと思ってもお金じゃ愛は買えないし、そう考えたら切ないですね...コメントありがとうございます！！じゅうたん大丈夫ですか？？湿ったりとか... (2019年8月9日 20時) (
レス) id: ce51d072e7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - すごく切なくてずっと涙出してて夜で母さんも寝てたから遠慮なく泣いてたらじゅうたんがびしょびしょになりました。 愛とはお金で買えないでも他に何かで帰るのかと言われてもどんなものを使っても買えないものだと私は思います。上から目線な感じですみません (2019年8月9日 2時) (レス) id: 056ea52e70 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーゆい(プロフ) - suzunaさん» ありがとうございます！！私もコメント見て泣きますて(笑) (2019年7月26日 12時) (レス) id: ce51d072e7 (このIDを非表示/違反報告)
suzuna(プロフ) - もぉー泣きますてやばいですて最高です壱馬くん大好きですて笑笑 (2019年7月26日 9時) (レス) id: be72bccc34 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーゆい(プロフ) - nrinosanさん» じゃねメッセージから送りますね〜！ (2019年7月17日 23時) (レス) id: ce51d072e7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぴーゆい | 作者ホームページ：http://twitter.com/@__Love_Symphony
作成日時：2019年2月21日 23時
