下手な嘘 ページ32
.
図書室から一番近いトイレに行って、一人で涙を我慢してる。
あまり人が立ち寄らない図書室だから、ここのトイレにも人があまり来なくい。
いつもはちょっと不気味だなって思うけど、今はそれが有難い。
大丈夫、私なんて川村くんと比べる価値もないんだから。
そう何度も心に言い聞かせて、涙を無理やり閉じ込めてからトイレを出た。
...........静か。
足音が大きく感じて、歩き方がぎこちない。
今頃川村くんは何をしてるんだろう。
階段を登りながら考えてると、誰かとぶつかりかけた。
『わっ！？』
北人「うおっ！？」
私の声とほぼ同時に聞こえた声の持ち主は、さっきまでカラオケの話をしていた吉野くんだった。
『よっ、吉野くん！？カラオケは！？』
北人「ちょっと忘れ物(笑)のついでにトイレ」
吉野くんは ビックリさせてごめんね！ って言ったあとすぐに驚いた。
北人「Aちゃん、どうしたの？」
『ん？何が？』
北人「何があって泣いちゃったの？」
『泣いてないよ(笑)』
北人「嘘ついたらだーめ(笑)目赤いよ？ほら、言える程度でいいから」
誤魔化してもダメだった。バレてしまった。
"川村くんと私は正反対の人間だと思い知ったら泣いちゃいました。"
こんなこと言えるわけないのに。
なんて答えればいいんだろう。
咄嗟に思い付いたのは.....
『し、新刊書籍の登録でミスしちゃって.....(笑)』
こんな嘘。
また吉野くんにバレないかドキドキしながら返事を待ってると、意外にもすんなり信じててホッとする。
北人「.....そっかそっか！まあ、誰でも失敗するしね。俺も部活で失敗するし！」
『そう、だね！ありがと！』
北人「ううん！泣き顔の可愛いAちゃん見れてよかった！」
『あはは.....(笑)』
北人「じゃあバイバイ！」
『バ、バイバイ！』
なんとか乗りきれた。そう思っていつの間にか肩に入ってた力を抜いた瞬間、吉野くんが「あっ、」って何か思い出したようにくるってこっちを向いて立ち止まった。
北人「Aちゃん、嘘つくのは俺の前だけにしといた方がいいよ(笑)バレちゃうから。」
『っ、.....』
北人「じゃあね(笑)」
いたずらっぽくそれだけ言ってまた歩きだした吉野くん。
結局、またバレてた。
この前川村くんに"眠たいからドアの前でボーッとしてた"っていう嘘をついた時もすぐにバレたし。
嘘が下手だと、つくづく思う。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 628人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぴーゆい(プロフ) - アノアノさん» ありがとうございます！実は放課後図書室を参考にしているんです(^_^) (2020年8月8日 19時) (
レス) id: 0d1949d838 (このIDを非表示/違反報告)
アノアノ(プロフ) - 放課後図書室みたい！ドキドキします！ (2020年6月6日 23時) (レス) id: 1723452b39 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーゆい(プロフ) - せえさん» でもまだあと金曜日がありますからね！更新頑張ります！！ (2019年4月26日 19時) (レス) id: ce51d072e7 (このIDを非表示/違反報告)
せえ - ヤーバイ！！最後の二日間辛いですよ！でもドキドキします！これから楽しみです！ (2019年4月26日 1時) (レス) id: 9ec98cd98a (このIDを非表示/違反報告)
ぴーゆい(プロフ) - ここなさん» よし、頑張ります！ (2019年4月17日 23時) (レス) id: ce51d072e7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぴーゆい | 作者ホームページ：http://twitter.com/@__Love_Symphony
作成日時：2019年1月3日 16時
