▼ ページ33
.
窓ガラスに反射して映る自分の姿と、涼太の隣にいる女性の姿をつい比べてしまう。
すると自分がいかに不釣り合いかを思い知らされる。
きっと涼太にはこういう人がお似合いなんだろうなって。
その時、ぱっとこちらを見た涼太と目が合って、つい目を逸らしてしまった。
「A。」
『ごめん、部屋にいなかったから。』
「ああ、ごめんごめん。探しとった？ちょっと今旅館の人と話してて、」
『知ってる。いいよ、話してて。私先に戻ってるね。』
「あ、ちょっ、A？」
本当自分どうしようもない。
せっかくこうして一緒に過ごす時間を作ってくれたのに、嫉妬心でいっぱいで情けない。
部屋に戻るとその後すぐに涼太も戻ってきたのが分かったけど、私はそっちを向かずにずっと窓の外を見ていた。
「A、どうしたん。」
『別に、どうもしないよ。』
「何怒ってるん？」
『別に、怒ってなんかない。』
「怒ってるやん。Aが別にって言う時はほんまは何かある時やもん。」
『だから別になんもないってば！…あ、ごめん。』
素直になれない自分が嫌。
つい大きな声を出してしまって、慌てて涼太の方を向いて謝ると、涼太は困った顔で私を見た。
これは怒らせたかと不安になったけど、涼太はこんな私を優しく抱きしめてくれた。
「ほんま分かりやすいな、A。」
『え？』
「さっき、ずっと見てたん気付いてたし。どうせAの事やから、妬いちゃったんやろ？」
『別に、そんなんじゃないもん…。』
「また別にって言った。まったくしょうがないな、Aは。」
『どうせしょうがない奴ですよ、子供だし、素直じゃないし、ちびだし、馬鹿だし、』
「じゃあそんなAが大好きな俺も、しょうがない奴やね。」
『…涼太、』
「妬いてくれんのは嬉しいけど、あんま意味ないと思うよ？俺、Aが思ってるよりもずっと、Aの事しか見えてへんから。」
そう言って身体を離した涼太は、私の頬に手を添えて軽くキスをして、あの笑顔で笑った。
私、涼太のことが大好きだ。
その想いが溢れ出て、ぎゅーっと涼太に抱き着いた。
『涼太、好き。』
「はは、知ってる。」
『大好き。』
「ん、俺も。」
『ずっと一緒にいたい。』
「ずっと一緒にいようね。」
『さっきは、ごめんなさい。』
「Aからちゅーしてくれたら許す。」
そう言って悪戯に笑う涼太に、私はキスをした。
初めて自分から、深いキスを。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 225人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
emry(プロフ) - こじゃるさん» こじゃるさん、ありがとうございます！亀更新となってしまうこともありましたが、ラストスパート頑張ります！ (2018年5月13日 22時) (
レス) id: ed62ca3d67 (このIDを非表示/違反報告)
こじゃる(プロフ) - 更新ありがとうございます。無事結ばれて良かったです(^^)またまた更新頑張って下さい。 (2018年5月13日 20時) (レス) id: e03f9b276d (このIDを非表示/違反報告)
こじゃる(プロフ) - 更新ありがとうございます。続きが気になって仕方がない(^^)頑張って下さい(●´ω｀●) (2018年5月10日 19時) (レス) id: 27c9203e2a (このIDを非表示/違反報告)
emry(プロフ) - こじゃるさん» こじゃるさん、いつもありがとうございます！お待たせして申し訳ありませんm(_ _)mまた是非楽しんでご覧ください！ (2018年5月9日 0時) (レス) id: ed62ca3d67 (このIDを非表示/違反報告)
emry(プロフ) - Nさん» コメントありがとうございます。更新お待たせいたしました。 (2018年5月9日 0時) (レス) id: ed62ca3d67 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：emry | 作成日時：2018年4月5日 22時
