▼YOU side. ページ14
.
「俺さ、まだ前と同じ気持ちなんだ。」
亜嵐くんからそう言われて、私はその場から動くこと出来なかった。
話したいことがあると言われて事務所のテラスで来るのを待った。
きっと仕事の事だろうなくらいにしか思ってなかったから、亜嵐くんの気持ちを受け止める準備は出来てなかった。
「ごめんね、待たせちゃって。打ち合わせ長引いちゃってさ。」
『ううん、大丈夫だよ。』
「ありがとう。寒くない？大丈夫？」
『うん、大丈夫。それで、話って？』
「ああ、うん。あのさ、勝手なんだけど、今から話すこと聞いても、これから先変わらないって約束してくれる？」
真面目な表情でそう言った亜嵐くんに、不思議に思いながらも分かったと返事をした。
何か思い詰めていることがあるのか、中々話を切り出さない亜嵐くん。
私はその様子をただ黙って見ているほかなかった。
「あの、さ。」
『うん。』
「…あー！やっぱだめだ！」
『びっくりしたー…。』
「ごめんごめん、何か言葉選んで言おうと思ったけど無理だったわ。」
『ねえ、亜嵐くん大丈夫？』
「はは、心配されちゃうようなことでもないんだけどさ。俺ね、吹っ切れてないんだよね。」
『え？』
「俺さ、まだ前と同じ気持ちなんだ。」
最初は何のことを言ってるのか分からなかった。
だけど亜嵐くんの顔を見ていたら、それが私に対する想いの事だって気付いた。
それに気付いたら途端に何も言えなくなって、顔も見れなくなって、俯いてしまった。
「びっくりしたよね。ごめん。」
『あ、ううん。あの、私…。』
「ああ、いいんだ。答えは分かってるからさ。けど、ずっと隠したままでいたくなかったんだよね。」
『そっか…。』
「だからちゃんと言ってほしいんだ、Aにも。」
『…ごめんなさい。でも、ありがとう。』
「うん。ありがとう。あー、すっきりした！」
私に申し訳なさを残さない為に、明るく振舞ってくれているのが分かる。
亜嵐くんはそういう人だから。
その中にも本当にすっきりしたんだなって感じも凄くあって、気持ちに答えられない事は本当に申し訳ないけど、言ってもらえて良かったと思えた。
「で、Aはどうすんの？」
『え？』
「玲於か、涼太か。ちゃんとはっきりしないとね。」
『っ、はい。でも、もう分かってる。』
亜嵐くんが恐るべしなのか、私が分かりやすいのか。
亜嵐くんは、次はAの番だよと背中を押してくれた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 225人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
emry(プロフ) - こじゃるさん» こじゃるさん、ありがとうございます！亀更新となってしまうこともありましたが、ラストスパート頑張ります！ (2018年5月13日 22時) (
レス) id: ed62ca3d67 (このIDを非表示/違反報告)
こじゃる(プロフ) - 更新ありがとうございます。無事結ばれて良かったです(^^)またまた更新頑張って下さい。 (2018年5月13日 20時) (レス) id: e03f9b276d (このIDを非表示/違反報告)
こじゃる(プロフ) - 更新ありがとうございます。続きが気になって仕方がない(^^)頑張って下さい(●´ω｀●) (2018年5月10日 19時) (レス) id: 27c9203e2a (このIDを非表示/違反報告)
emry(プロフ) - こじゃるさん» こじゃるさん、いつもありがとうございます！お待たせして申し訳ありませんm(_ _)mまた是非楽しんでご覧ください！ (2018年5月9日 0時) (レス) id: ed62ca3d67 (このIDを非表示/違反報告)
emry(プロフ) - Nさん» コメントありがとうございます。更新お待たせいたしました。 (2018年5月9日 0時) (レス) id: ed62ca3d67 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：emry | 作成日時：2018年4月5日 22時
