同じ夢に向かってたから ページ18
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「あのさ、臣さんがデビューした時、Aどう思った?」
『率直に凄いなって思った、かな。』
「じゃあ、同じ夢を持つ妹として、どんな事聞きたかった?」
『どんな風に努力をして、どんな辛いことを乗り越えたのかなとか、そういうこと聞いた気がする。』
「そっか、俺も同じ気持ちだったんだ、今日。相手があかりじゃなくても、飯会断ってたよ。」
『…え?』
「同じ夢を追い掛けてた仲間として、素直に嬉しかったし、すげえなって思った。Aと同じように、夢が叶うまでの道程がどんなんだったかを聞いてみたかった。」
だから、深い意味なんてないんだよ言うと、不思議そうな顔でこちらを見ていたAの目から、みるみると涙が溢れ出してきた。
「もう泣くなよー、」
『っ、だって…、なんでそんな事、話すの?』
「きっとAのことだから、俺が取られちゃうとか思ったんでしょ?」
『そんなこと、ないもん…、』
Aが図星を突かれた時は、決まって下唇を噛み、左頬に空気を溜めて悔しそうにする。
その姿が今はいつも以上に可愛く思えて、いつもとは違う何かが込み上げてきた。
「ふ、図星ですな。Aさん。」
『もう、うるさいっ。…でも、ありがと。』
「Aを泣かせたなんてバレたら、めっちゃ怒られる。いや、俺多分殺されちゃうから、みんなに。」
『ふふ、そんな大袈裟だよ。』
「やっと笑った。やっぱAは笑ってないとだめだね。」
子供みたいに洋服の袖で涙を拭うと、やっといつものようななんの穢もない笑顔で笑った。
「さて、どうしよっか。このままはけちゃおっか。」
『だめだよ、そんな事したらそれこそ亜嵐くんに怒られちゃうもん。』
「確かに。それは勘弁だなー。じゃあ戻れますか?」
『…うん、戻る。ねえ、顔変じゃない?目やばくない?あ、もうお化粧とれちゃったよ。』
「変じゃない変じゃない、いつも通り可愛いですよ。あ、ちょっと待って。睫毛になんかついてる。」
『ほんと?取れた?』
「ん、まだ。ちょっと目瞑って?」
なぜか今日は、俺の事で泣いてしまうAに、行かないでって言ってるような表情に、なんか胸がきゅっと締め付けるような感覚に襲われる。
そして今も。目の前で目を瞑ったAが、どうしようもなく、愛おしく思えてしまう。
『え…、』
そして、俺は、
“魔が差して”
Aにキスをした。
誰かに見られてるとも思わずに。
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emry(プロフ) - 結架さん» たくさんのコメントありがとうございます。投稿する前に気付けず、申し訳ありません。助かりました!訂正させていただきますので、今後とも宜しくお願い致します! (2018年3月16日 0時) (レス) id: ed62ca3d67 (このIDを非表示/違反報告)
結架 - こんばんは(*^^*) 沢山の直しを言ってしまいすみませんでした(>_<) (2018年3月15日 1時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
結架 - またまた続けてのコメントですみません(・_・;) 最初のコメントとその次のコメントとまた次の コメントの名前が間違っていました。 琉架ではなく正しくは結架でした。 すみません(>_<) (2018年3月15日 1時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
琉架 - また続けてのコメントですみません...。 思いがけない再会のここの台詞 そう言えば、彼女も○○←名前と涼太とのあの一見を目撃したうちの一人だった。 これ正しくは一件ではないんでしょうか? (2018年3月15日 0時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
琉架 - 続けてのコメントですみません(>_<) 物語読んでいて気が付いたのですが...。 各物語の題名で思いがけない再開これ正しくは 再会ではないんでしょうか? (2018年3月15日 0時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:emry | 作成日時:2017年3月14日 21時