ーGENE短編集ー

【Yuta.N】 ページ9

Aside



「ねえ裕太、裕太ってば」

裕太「んー」



GENERATIONSというグループで活動する私の彼
中務裕太は中国でツアーを行うため一週間近く日本を離れてた

けどそれも無事に終え帰国してきた今日

帰ってきてすぐ私の座るソファーの隣に腰かける裕太

久しぶりにまったり過ごせるかな、

なんて呑気に考えている私

だけどその期待は彼が溺愛している二匹のハリネズミのマイロとアルビーによって掻き消された

隣に座る裕太は嬉しそうにマイロとアルビーを
撫でくりまわしてる

まるで私のことなんか忘れちゃったみたいに



「ねえ、久しぶりに会ったんだよ？」

裕太「せやな」



無視はしないものの目線はずっと
マイロとアルビーに向けられたままで



「…ねえ、一週間も会えなくて寂しかったんだよ」

裕太「ん、そっか」



いくら私が本音をぶつけても裕太には届かない

体も心もきちんと向き合ってくれなくて



「ゆ、た…」

裕太「どうし、…え？」



気付いたら隣にいる裕太の服を掴んでて

久しぶりに会った大好きな裕太の顔を見たいのに
視界がぼやけてよく見えない



裕太「え、A泣いて…」



あ、そうか

私今泣いてるんだ



「ごめっ…」



思いが伝わらないのが悔しくて
嫉妬心ばかり溢れる私自身が憎くて

こんな汚い気持ち抱いたまま裕太と接したくない

そう思いその場を離れようとすれば



裕太「行くなって、」



立ち上がった私の腕を掴み
自らの腕で優しく包み込む裕太



「うっ、ひっく…」

裕太「ほんまごめん、意地悪しすぎた」



え、？

意地悪？



裕太「龍友くんが言っててん」

「りゅとくんが、？」

裕太「そ、Aのこと嫉妬させてみ？って
そしたら100万倍かわええよって」



な、にそれ



「ばかっ、さみしかったあっ…」

裕太「うん、ほんまごめん」

「嫌われちゃったのかなって
あっちで綺麗な人見つけちゃったのかなって」

裕太「そんなんありえんわ、心配せんでいい
俺はA以外愛せんから」



そう言って裕太は私を抱きしめる腕の力を更に強めた

この上ない安堵感に包まれたと共に互いの愛情が
より一層深まった気がした



裕太「なあ、A？」

「ん？」



ソファーに腰掛ける私を
後ろから抱き締めて裕太が言う



裕太「悲しい思いさせてしもたけど」









___嫉妬したA
可愛すぎてヤキモチ妬かせるのクセになりそ___






彼特有のクセのある声でそう言い微笑む彼に

私は一生敵わない

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