ーGENE短編集ー

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玲於side

色んなあった昨日、俺は色んな感情が混雑してよく眠ることができなかった

いつも「休日だからっていつまでも寝てんな」って怒鳴り込んで来る母さんは今日は来なくて

気遣われてんのか俺、ダッサ…

生憎、今日は土曜だから登校する必要もなく少しはゆっくりできると思いもう一度眠りにつこうと
思ったその時

プルルル…

枕元で鳴る携帯を手に取り液晶画面を見れば
〈小森 隼〉の文字

なんだ、隼か…

隼もAと同じく古い付き合い

今は気分も晴れないし無視してやろうかと
思ったけど後々面倒臭くなることを考慮して電話に
出ることにした

「…もしもし」

"あ、もしもし玲於！？"

思ってたより大きい声量に思わず携帯を遠ざける

「…そうだけど、なに」

"「なに」じゃねぇって！！今どこ！？"

「家」

"はぁ！？お前なにしてんの！？"

「なにって…別に」

"お前昨日の先生の話聞いてなかったのかよ！"

「担任の話とか、それどころじゃなかったし…」

"そ、か…"

何かを悟ったかのように黙り込む隼だけど
すぐに話を切り出す

"今さ、クラスメイト全員で先生の家に居んのな？"

「…ん」

"Aの送別会で"

「そっか、」

"「そっか」ってお前、来なくていいのかよ…！"

「別に俺には関係ねぇし、」

"あるだろ！"

「話それだけ？眠いしもう切… "ぜってぇ後悔する"

電話越しに聞こえたいつもと違う隼の声色に
少し驚く

いつもおちゃらけてておふざけキャラの隼だけど
今回ばかりは真剣らしい

"…A、明日には東京に飛ぶらしい"

「あし、た…」

"もう会えなくなるかもしれねえんだぞ…！"

「分かってる…」

"A、さっきから玄関の方チラチラ見てる"

「…」

"きっと玲於が来るの待ってんだよ…！"

「そんな訳… "俺だって好きだった…！！"

「…え？」

"俺だってAのこと…"

「はや、と…」

"…っていうのは嘘でぇぇぇぇす！！"

「…はぁ？」

"ここまでしないと玲於、来る気にならねえだろ？"

「ほんっとにお前…」

"へへ、騙された？…ズズッ"

一丁前に怒鳴ってやろうかと思ったけど
電話越しに間違いなく隼の鼻をすする音が聞こえた

その時確信した

隼は本当にA…

「…ありがとう、隼」

"お、今日は珍しくお砂糖さんだね♡
その調子でAにも甘い対応で…「調子乗んな」

"ははっ、相変わらずだなあ笑
そんじゃ待ってるからな！ぜってー来いよ！"

「ん、じゃ…」

何度でも言うよ

隼、本当にありがとう

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