29話 ページ31
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「今日ハ災難だったネ」
『(見てたの？きい)』
「ウワサきこえタ」
『(これで良かったのよきっと…)』
「本当ニよかったノ…？」
『(早く帰りましょう尊の所に)』
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まきをside
遊郭に鬼がいるかもしれない…
だからお前たちに任務を頼むと頼まれたのは
丁度一ヶ月程前の事。
あたしは荻本屋へ忍にいく事になった
初日から最悪だ。
任務とはいえ天元様があたし達以外のオンナ
そう荻本屋花魁の桔梗花魁がお相手だった
幸せそうだったんだ
抱き締められたり撫でられたりはあるけど
こんな…こんな…求められた事はない
この日からあたしは桔梗花魁に嫉妬という感情を
抱いていたのかもしれない
天元様にその事をいえば
「ったく…
まきをは何時からそんなに我儘になったんだ？
俺もお前達のように任務がある
遊郭という大人数がいる場所を守るのは俺だ
んまぁ…どうしてもと言うなら直接言いに行くか｣
と返ってきた
違う違う…
あたしがほしいのは天元様の甘い言葉…
ー
桔梗花魁の道中を見た時もう…この人には叶わない
そう思えてしまった
あたしが茶に毒を入れれば飲む前に見た目で気づいた
只者じゃない…もしかして…
それから桔梗花魁の提案で天元様は出禁になり
家へ帰ってから天元様は大変不機嫌だった
「っ…俺もお前も少し冷静になろう」
天元様はあたしを抱きしめながらそう言った
これでいいんだ…これで…
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作者名：月紅 | 作成日時：2022年3月3日 20時
