８９〜おはよう／樹〜 ページ49
仕方ないので、まだまだぼやけた意識の中、のろのろとベッドに向かって歩く。
ベッドに腰掛けて、振り返る格好でAに声をかけた。
「……お嬢。」
すぅ、という寝息だけが返ってくる。
「お嬢、起きて。」
布団から見える肩に、手をかけて少しだけ揺さぶると。
「ん〜…。」
と返事なのか寝言なのかわからない声を出して、また、すぅ、という寝息が聞こえた。
「……A。朝餉だよ。」
そう言ってもう一度肩を揺すると、うっすらと目が開く。
「………じゅり…？」
「うん。じゅりだよ。」
寝ぼけ眼で俺に向かって伸ばされる両手。
それに応えて、ぎゅっと抱きしめながら体を起こす。
背中に回された腕は、多分眠気で全然力が入ってない。そのまま、顔を傾けて唇を寄せると、
あっさりと受け入れてもらえた。
「おはよ、A。」
「…おはよう、樹。」
ここで、初めて自分も俺も、間に布団を挟んでいるだけの素肌で抱き合っていることに気づいたらしい。
「…え、」
「あ、今？」
みるみる意識を取り戻して顔を赤くするAが愛おしくて、笑いがこぼれた。
「昨夜、ごめんね？」
「…え、な、なにが？」
「止めらんなかった。」
それだけ言って、リップ音をさせてもう一度軽くキスして。
「着替えてくる。」
立ち上がって、パジャマ代わりのスエットをズボンだけ穿く。
「俺いたら、出れねぇでしょ？」
振りむいてそう言うと、Aはまだ赤い顔をしていた。
９０〜朝餉に行こう〜／作者から→←８８〜待てるわけがない／樹〜
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月華(プロフ) - 凪さん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけて何よりです！引越し先にも是非遊びにいらして下さい(* 'ᵕ' )☆ (2022年10月16日 20時) (
レス) id: 86be01ea37 (このIDを非表示/違反報告)
凪(プロフ) - この作品大好きで、いつも更新楽しみにしてます！！ (2022年10月16日 9時) (レス) id: 789ab475c3 (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - おむらいすだいふくさん» こちらではなかなかイチャイチャ要素を持ち込みにくいので、別作品を書き始めてしまいました(笑)こちらでも書けるときには頑張って書きますね。 (2022年10月12日 0時) (レス) id: 1c32e2fa67 (このIDを非表示/違反報告)
おむらいすだいふく(プロフ) - 月華さん» 更新ありがとうございます！個人的に樹くんとのイチャイチャがもっと見てみたいです！笑 (2022年10月11日 7時) (レス) id: 5efa7bbe3f (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - おむらいすだいふくさん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけて良かったです。お話はまだまだ続きそうです。ぜひ楽しんでいってください。ありがとうございます！ (2022年10月9日 19時) (レス) id: 1c32e2fa67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月華
| 作成日時：2022年9月23日 22時
