▽ ページ22
「じゃあ、Aさんのリクエストにお応えして、ハンバーグ食べに行こうか？」
「うん、食べる。」
Aさんが好きな洋食屋さん。味はもちろん、老舗でレトロな建物の外観を、僕は気に入っていた。
おいしいね、と言い合いながら食べる食事は本当に幸せだ。昨日まで煮詰まっていた現実から、少しの間
離れることができる。
Aさんも、ラボや研究室でぐるぐるしていたけど、今日は来てよかった、と言いながらハンバーグを頬張っていた。
「おいしかった。玲太くん、ご馳走様でした。」
「どういたしまして。ありがとう、一緒にご飯食べてくれて。」
「ううん、私こそ…なんていうか、困らせちゃったよね、あんな、電話で泣くとかホント、」
「そんなこと言わないで。」
「え。」
「僕だって、そろそろ限界だったんだ、だからあんな遅い時間に電話とかしちゃって…。」
「いいの、私も声聞きたいって思ってた。」
「うん。………でね、会ってしまったら、もう離れがたくてさ。」
「………うん。」
「今日、は、ずっと一緒にいれないかな、とか………。」
その大きな目をめいっぱい見開いて、Aさんが僕を見上げている。やっぱりだめだ、やらかした時に
撤回できる話術を伊沢さんか山本さんから伝授してもらわなければ…！
「玲太くん、」
「はい。」
「あの、嬉しい、すごく。」
片言だね、だなんて思っていても口にして冗談で済むほど僕は器用ではない。そのままAさんが
言葉を紡ぐのを待っていた。
「私も…会えちゃったら、もうダメだよ、帰りたくない、って思ってた、でもこんなこと女の子から言うのどうかな、って思って、でも、わっ。」
真っ赤になってとめどなく言葉をこぼすAさんが可愛くて、こんなのもう止められるわけがない。
ひとまずAさんを腕にしまいこむ。
「じゃあ……僕の部屋に初ご招待、しても……いい、のかな、えと。」
「…………コンビニ寄ってもいいですか。」
頬の赤さをさらに増量させたAさんは、そう言ってうつむいてしまった。
「うん、そう、だね、寄ろう、コンビニ。」
二人で手を繋いで、最寄りのコンビニを目指して歩いた。
(画材とか散らばっててすごいけどごめんね。)
(え、作品見せてもらえるの？)
(…………できあがったやつならね。)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 88人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白黒(プロフ) - 月華さん» 私の書いた話がこんな素敵なお話が作られるきっかけになったのなら質より量で挑む精神も間違ってなかったですね！私も月華さんとこうやってお話できて嬉しいです◎ (2019年3月5日 0時) (
レス) id: b3eb1b48b3 (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 白黒さん» いやもう、ホントにガツン！とやられてしまったんです…！白黒さんに出会えたから、このお話ができたと言っても過言ではないほどに好きです（告白）。コメントいただいて少しお近づきになれて、すごく舞い上がってるので…！ (2019年3月4日 23時) (レス) id: 333e4733fe (このIDを非表示/違反報告)
白黒(プロフ) - 月華さん» わーありがとうございます！そうだったら嬉しいな〜とぼんやり考えていたのですが言いだすのが恥ずかしく言いだせないでいました……笑 (2019年3月4日 22時) (レス) id: b3eb1b48b3 (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 美都さん» ありがとうございます。最後のおまけは、本当に突発的に思いついて書きました。まだまだsgさんブームは去りそうもありません、もうしばらくおつきあいください (2019年3月4日 22時) (レス) id: 333e4733fe (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 白黒さん» わざわざありがとうございます！ここだけの話ですが、最後に私が書いた大好きなお話と作者様は、白黒さんです（照）。最後の２話分は、私もお気に入りです。二人の混乱ぶりが書いてて楽しかったです。これからもよろしくお願いします。 (2019年3月4日 22時) (レス) id: 333e4733fe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月華
| 作成日時：2019年2月25日 23時
