たとえばここが、世界の果てでも３ (ページ8)

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翌日。駅の近くにある、フォーマルなドレスを取り扱っているお店に、
樹さんに連れられて出かけた。

「…………初めて入ります。」
「俺も。」

その割に、堂々としている樹さんは、やっぱり大人なんだなと思う。

いらっしゃいませ、と出迎えてくれた店員さんに、樹さんが色々と
オーダーをしている。

少しすると。

かしこまりました、と、樹さんに返事をした店員さんが

「ではお客様、こちらへどうぞ。」

と、私に声をかける。

「お連れ様はよろしければこちらへ。お飲み物は何がよろしいですか？」

別の店員さんに声をかけられて、樹さんは違う場所へと行ってしまうらしく。

「ぇ、」

初めての場所でひとりになる不安で、一瞬漏れた、自分にしか聞こえないような声に。

「どした？」

と振り返ってくれる樹さん。

「あ、えと、」

まさか聞こえているとは思わず、焦っている私を見て、「ふは、」と
笑い声をこぼすと、

「ごめん、この子の試着につき合いたいんだけどいい？」

と自分の近くにいる店員さんに断りを入れている。

樹さんを先導しようとしていた店員さんが、私の方へと樹さんを誘導している。

「かしこまりました、そうしましたら、こちらへご一緒にどうぞ。」

店員さんふたりに先導されて、私と樹さんは並んで後ろをついていった。