135 ページ50
その日は恭平の両親が切り盛りする酒場に、食事をしに行き。
「樹くん、ここに来たばかりの時に比べてずいぶん穏やかな
顔つきになったねぇ。」
と恭平のお母さんに言われ。
そーすか、と返す俺に「Aもずいぶん明るくなって。
あんたたちがお互いを思って大切にしてるのがよくわかるで。」と
笑ってくれた。
「あ！A！樹くんも。来てたんすか！」
階段を降りてきた恭平が、俺たちを見つけて声をかけてくる。
「おー。」
「恭平、今日も大学行ってきたの？」
「そやで？」
「オマエ、卒論だいじょーぶなの？」
Aはそろそろ仮の提出できるっぽいぞ、と言いながらワインを
ひとくち飲むと、「マジで！？」と目を見開きながらAを
見ている恭平。
「え、うん、多分3月中にはクリアする、」
「……マジか。」
多分俺ギリ、と絶望をにじませる顔で俺を見てくる恭平。
「…こっち見んな。」
どーにもしてやれねーよ、俺じゃ。と返すと、そーゆーんじゃ
ないすよ！と言っている恭平に、「はよ食べ終わってよ！」と
声をかけているお母さん。
「ここ座れば？」
と椅子を引いてやると、
「いいんすか！？」
と顔を輝かせて皿を持ってくる恭平。
「あんたふたりの邪魔しなや！」
「いて！」
座って食べ始めようとしたところに、後ろから頭をどつかれている
恭平に、笑いがこぼれる。
「いや、俺が声かけたんで。大丈夫です。」
と言えば、
「ホンマにもう、」
と恭平に対する文句をぶつぶつ言いながら、お母さんは厨房へと
戻って行った。
−−−−−−−−−−−−−−−−−
いつも『たとえばここが、世界の果てでも』を読んで
いただき、ありがとうございます。
お話がいっぱいになりましたので、次に移行いたします。
…なかなか終わらん汗
今回の移行で終了するといいな…。
えと、次回からちょっと更新頻度が落ちることが
あるかもしれませんが、しっかり完結させますので
よろしくお願いいたします。
月華
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 272人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月華
| 作成日時：2023年5月15日 0時
