たとえばここが、世界の果てでも３ (ページ47)

今日:35 hit、昨日:31 hit、合計:49,761 hit

132 ページ47

しばらくふたりで抱きしめあって。

ゆっくりAを離すと、どちらからともなく唇が重なる。

リップ音をさせて離れて改めて見ると、Aの包帯は
血が染みていたし、俺のシャツにはその血がついて袖が
赤くなっていた。

「ごめんなさい、シャツが、」
「へーき。着替えて、下、片づけてくんね。」
「私も、」
「ん。一緒に行こ。」

包帯も変えなきゃな、と言って、ふたりで寝室を出た。

寝室の向かいにある、たくさんの計算が書き込まれた黒板が
ある部屋には、Aの机の隣に俺の作業机がある。

Aが俺のものにしてくれてある、作業机の近くにあるクローゼットを
開けて、その中からシャツを取り出す。

ボタンをはずして、血が染みているシャツを脱ぐと、Aが
視線を逸らしていた。

「どした？」
「……あの、やっぱり恥ずかしくて、」
「全部見たことあんのに何言ってんの？」

からかうつもりでそう言うと、Aは顔を真っ赤にして
体ごと後ろを向く。

「ごめん、からかいすぎた、」

少し笑いながらシャツを羽織って、ボタンを留める前に後ろから抱きしめる。

「樹さん、」
「ん？」
「ボタンを、留めてください、」

声がめちゃくちゃ焦ってるから、「はい、」と返事をして
Aを解放した。