たとえばここが、世界の果てでも３ (ページ43)

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バスタブの縁に降ろされて、泣きそうな樹さんが蛇口をひねった。

お湯が出るのを待って、洗面器に溜めたお湯で、丁寧に足を
洗い流してくれる。

「…破片は刺さってなさそうだから。」

タオルで傷口を覆ってくれて、「これで押さえといて。」と言うと、
私の右手を取って水圧を弱めたシャワーでゆっくり傷口を流して
くれる。

「…いっ、」
「あ、ごめ、」
「大丈夫です、すみません、」
「ごめんな、もう少し我慢して、」
「……はい、」

全部の傷を、丁寧に洗い流してくれて、水気をふき取ってくれた後、
樹さんがもう一度私を抱き上げて。

「え、樹さん、」
「救急箱ある？」
「えと、リビングに、」
「わかった。」

そのまま暖炉の前のソファに降ろされる。

救急箱を見つけた樹さんは、壊れ物を修復するみたいに傷の手当てを
してくれた。

「思ったより深くないから、医者は行かなくても大丈夫だと思う。」
「はい、」
「化膿したらすぐ行こうな。」
「はい。」

そのまま、樹さんは再び私を抱き上げて、2階の寝室へと向かった。