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「落ち着いた？」
「……多分、」
「うん。続き、話してもい？」
「…はい、」
「…………イヤ、やめとこ。」
「…え…？」
Aを安心させるように、少し微笑んでみせて。
右手を頬に添えて、親指で頬を撫でてやる。
「あんま顔色よくない。もうちょっとメンタル安定してからにしよ？」
「…樹さん…、」
「明日、俺んちに帰ったら。そしたら、また続き話そうな？」
「……はい、」
少し安心したように見えるAの手を取って立ち上がる。
「さて、寝るか。」
「樹さん、ジェシーさんたちと飲まなくて大丈夫なんですか？」
「…さすがに今のAほったらかして飲みに行けるほど
白状な男じゃねーわ。」
「…樹さん、」
「……ん…？」
「ぎゅ、ってして、ください、」
「なにそれかあいい、」
話しながら寝室にたどり着いて、ベッドに潜り込んだらブランケットを捲ってやる。
「おいで。」
いつもやるみたいに、自分の隣をぽんぽん、と叩いて合図すると、
Aが嬉しそうに微笑んで。
「失礼します、」
そう言って、俺に擦り寄ってくる。
「…なんか。」
「？なんですか？」
「俺さ、マジでお前に依存してるかも。」
「え？」
「共依存恋愛、ってヤツ？」
「………それは多分、私も同じです。」
ですが、と続けるAの言葉を無言で促す。
「それでも、いいです、依存してるかもしれませんが、
樹さんのことを好きな気持ちは本当です。」
胸元に顔を埋めて、視線を合わせずに話すAの耳が赤い。
約束通り、ぎゅ、と抱きしめて、耳の縁に唇で触れると。
「ん、」
思わず小さく身体を震わせて、かわいい声が口から漏れるから。
「かあいい、」
つい、唇を這わせたまま、その耳元にそう囁く。
「樹さん、」
「んは、わかってるよ。」
今日はゆっくり寝ような、と唇を額に移動させて、小さく
キスをひとつ。
「おやすみ、A。」
「おやすみなさい、」
そう返した直後、すぅ、と寝息が聞こえる。
Aの呼吸が苦しくならないように、腕を緩めて解放
してやるけど。
「じゅ、」
寝言でむにゃむにゃ俺の名前を呼びながら擦り寄ってくる。
あまり人に甘えるタイプではないAが、こうやって甘えて
くるようになって、愛おしいと思う気持ちが増していく。
「……絶対大丈夫だからな、」
と、Aの寝顔に告げて、俺も目を閉じた。
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作者名：月華
| 作成日時：2023年5月15日 0時
