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「なんのお話だったのですか？」
俺の分もグレープフルーツジュースをもらって、またふたりで
並んで話をする。
「うん。帰ったらゆっくり話すな。」
「…わかりました。」
「悪い話じゃねーから。心配しなくていーよ。」
「はい。」
少し安心したような顔をして、ジュースを飲んでいる。
さっきよりは人が減ってきたけど、それでも残ってる連中の中で
しつこくAにちらちら視線を送ってるやつが数人。
「よし。」
「『よし』？ですか？」
「A。」
「はい、」
無言で天井を指さしてみると。
「……？」
不思議そうに上を見るので、俺も一緒に見上げる。
「え？なんですか？」
「……あれ。」
「………あ、」
「わかった？」
「……ヤドリギ、」
そう、と答えた瞬間に右手で顎を掬って唇を塞ぐ。すぐにもう一度
唇を塞ぐと、じっくり味わせてもらって。
「ん、」
唇を貪ったまま、腰をぐ、と引き寄せて抱きしめる。
そのまま、周りの視線を感じながら、やべー止まんねーな、と
思いながらAの舌を食べ続けていると。
「じゅり、さ、んん、」
くちゅ、と音をさせながら唇を離して、そのまま唇を耳に寄せる。
「かわいい声出すなって。」
「ゃ、」
ぎゅ、と抱きしめて周囲をうかがってみると、まあまあ凝視
されているので、思わず小さく「んふ、」と笑い声が出る。
「樹さん？」
「宿舎に行こ？」
「あ……はい、」
手をつないで歩き出そうとすると。
「今日は、腕を組むのでは…？」
と聞いてくるから、「確かに。」と答えて、曲げた左腕に右手を
組ませて、改めて歩き出した。
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作者名：月華
| 作成日時：2023年5月15日 0時
