たとえばここが、世界の果てでも３ (ページ15)

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思いがけず甘い時間を過ごした俺たちは、そのままふたりそろって
ベッドで仮眠をとって。

「A、起きな。」

そろそろいい時間になったのを確認して、気持ちよさそうに寝息を
立てているAに声をかけた。

「……ん、……ぁい…。」

『ぁい』はよくない。眠りから急浮上するときの、ぽやぽやした
声で『ぁい』はよくない。

「A…？」

頬にかかった髪を避けてやって。

そのまましぱしぱさせている目を、いつも寝起きにしてやってるように
親指で撫でてやる。

「A、支度してドレス着せてもらいに行くぞ。」
「わ、かり、ました、」

まだ弱冠寝ぼけた様子で、Aが出かける準備を始める。

その間、俺は壁に吊るされた軍服を着て。

「A？もう行ける？」

声をかければ、はい、と言いながら自室から出てくるA。

俺を見上げて、無言になっている。

「………ナニ。」

思わず漏れた笑顔で聞いてみれば、

「………素敵です…。」

と真っ赤な顔でそう答える。

「じゃあ、Aにも素敵になってもらいに行くか。」

軍服のコートを着て、帽子を左手に持ったら、右手でAの手を取る。

オートモービルに乗って、ドレスの着付けに向かった。