たとえばここが、世界の果てでも３ (ページ1)

今日:18 hit、昨日:31 hit、合計:49,744 hit

88 ページ1

ハロウィンが終わって、次にやってくる季節の行事はクリスマスだ。

だいぶ寒くなってきて、地下のセントラルヒーティングが活躍している。

「はよ。」

腕の中で目を覚ましたAの目を撫でてやりながら、声をかける。

「おはようございます、」
「うん、おはよ。」

寝返りを打とうとするAの体を引き寄せて、それを阻止する。

「今日は寒そうだな。」

Aを抱きしめたまま、外に視線をやってそう言うと、

「見えないのでわかりません。」

ちょっと拗ねモードの声で、Aが俺の胸元に額を摺り寄せてくる。

「そーゆーちょっとしたトコ、かあいいな、Aって。」
「え？」
「ふは、」

よっ、と声をかけて、腕の中でAを反転させる。

「ほら。めちゃくちゃ寒そう。」

外はどんより曇っていて、風が木を揺らしている。

「今日、外出る用事ある？」
「ないです。買い物も済ませているので、」
「じゃーさ、一日ここにいよ？」
「家ですか？」
「ちーがう、ここっつったらここだろ、」

そう言って、厚手の毛布とふとんをがばっと鼻の下まで引き上げて被る。

「ぇ、あ、ベッドですか！？」
「そーだよ。」

ちょっと困惑するAの額にちゅ、と一回唇で触れて。

「そうと決まれば、支度するぞ。」
「え、支度？わ、」

Aの体を抱き起して、ベッドから引っ張り出す。

「一回顔洗って歯磨きするぞ。」
「え、樹さん、」