たとえばここが、世界の果てでも (ページ45)

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その晩は、ふたり揃ってかなり爆睡した。

少しずつ覚醒し始めて、目が開くと、樹さんの寝顔がそこにあって。
やっぱり、心拍数は落ち着かなくなる。

樹さんの別宅に滞在していたときは、ずっと一緒のベッドに寝ていたけれど、
やっぱり毎朝どきどきする。

私も樹さんも、本能でわかってる。

もう、多分私たちは離れられない。

眠りにつく前に繋がれた手は、目が覚めても繋がれているし、離れてしまったときには、
必ず樹さんが私を背中から抱きしめていた。

「…樹さん、」

無駄だとはわかってるけど、小さな声で樹さんを起こしてみる。
やっぱり、なんの反応もなく寝息を立て続ける樹さんを愛おしく思って、その
胸に擦り寄ってみた。

…安心感がとてつもない…。

そのまま二度寝に入ってしまいそうなほどに、意識がぽやぽやとしてきたその時。

来客を知らせるカウベルが鳴り響いて、私が一気に意識を戻すのと同時に、

「！！」

パチっと目を覚ました樹さんが、素早い動きで起き上がって私を抱きしめると、
右手を脇の方に伸ばす。
今までに見たことがないような、鋭い目をしているのが一瞬見えた。

「…！？」

焦って何かを探している。

「…樹さん…？」
「…………ぇ…？」

さっきまでとは別人のようにぽかんとした目になると。

「……A？」
「…はい。」

周囲をきょろきょろと見渡して。

「敵襲と間違えた…。」

そう呟いて、私を抱きしめたままどさりと横たわった。