たとえばここが、世界の果てでも (ページ41)

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「なに。」

松村さんが立ち止まって、樹さんの隣に並ぶ。

「このオートモービル、預かってくんね？」
「…は？」
「言ったべ、しばらく留守にする、って。」
「しばらくって、どれくらいの話？」
「…A、次に長く休みになるのっていつ。」

樹さんが私に話を振ったのを聞いて、松村さんが「…は…？」と眉を寄せる。

「…えと、10月の終わりごろに1週間くらい中休みがあって、冬休みは12月からです。」

私の話を聞いて、樹さんが松村さんに「…だってさ。」と答えている。

「……えちょっと待って、え、ふたりってそういうこと…？」
「そ。」

樹さんのさらっとした答えに、松村さんは「マジで…？」と私たちを交互に見ている。

「…なんで。ダメ？」
「いやダメとかじゃないけど、ちょっとびっくりしただけ。」
「あーそーぉ？まいいや、だから次来るのって10月と12月でい？」
「…いい…けど、12月は事前に連絡して。クリスマス休暇はいないかもだし。」
「ナニ。実家帰んの？」
「わかんないけど。もしかしたら。」
「…わかった。」

じゃ、それでよろしくー、とあっさり告げて、そのまま樹さんは「北斗、これ
お前らに貸しといてやるから今から駅まで送れよ。」と無茶苦茶なことを言っている。

「……オマエさぁ…。」
「なんで。ダメ？」
「いやいいけど。」
「行くぞ、A。」

松村さんの、「え今！？」という言葉もスルーして、樹さんは4人に声をかけている。