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数分後。
どやどやと騒がしい声が聞こえて、松村さんの作業場のドアがばーん!と開いた。
「じゅり〜!!」
「どしたの急に〜!」
大きな声のふたりがなだれ込んできて、樹さんのところに勢いよく抱き着いている。
「なんだよやめろって。」
嫌そうに言ってるけど、多分樹さんは楽しんでる。
声も大きいけど、背も大きいふたりは、樹さんを囲んでわいわいと一方的に話し始めた。
「お前らさー。」
少し呆れたような声で入って来たのは、樹さんと同じくらいすらりとした人と、あとは
自分の性別を女性です、と胸張って言うのは憚れるような綺麗な顔の男の人だった。
そんな6人をぽかんと見ていると、HAHAHA!と大きな声で笑っていた一番背の高い人が
私の存在に気づいたらしく。
「……で、樹。彼女は誰。」
と急に口にすると、皆さんが私の方を向いた。
樹さんの義手をメンテナンスしている松村さんを置いて、樹さんの左腕をひっぱったり
背中を押したりして、残りの4人の皆さんが私のところへやってくる。
「こいつは森山A。俺がいた艦隊の技師の娘さん。」
「あ!樹が時計の修理教わってた人!?」
もうひとりの大きな声をした人が、樹さんに聞いている。
「そー。A、こいつら全員俺の士官学校時代の同期。そっちから順番に、ジェシー・ルイス、
森本慎太郎、京本大我、高地優吾。」
「初めましてー!」
ジェシーさんが右手を出してくるので、握手をすると、そのままハグをされる。
「初めまして、森山Aです、あの、よろしくお願いいたします。」
頭を下げると、皆さん口々に「初めまして」「よろしく」と言ってくれる。
「今は、ジェシーと慎太郎は士官学校の主任で。きょも…京本ね、きょもが大佐でこーちが
参謀長。北斗は技師の養成をしてる。」
少し離れたところで作業をしていた松村さんが、ツナギの左足を少し捲って「こんなんだから。」と
見せてくれた。
そこには、樹さんの右手と同じ、金属でできた義足があった。
「退役したのは、俺だけ。」
そう言って、私のほっぺたを左手でそっとつまんだ。
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作者名:月華 | 作成日時:2023年3月28日 1時