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窓の近くに置いた、小さなテーブルとスツールにとりあえず座らせる。
「……えーと…コーヒーか紅茶……か…水。何飲む？」
「…あ、そしたら紅茶、を、」
「りょーかい。」
テキトーでゴメンね、アフタヌーンティの国なのに、と言いながら動きが鈍くなった表情筋を
久しぶりに動かすと、少しだけ口角が上がるのがわかる。
そのまま、いい加減に作ったミルクティが入ったマグカップを差し出した。
すると、自分にカップを渡そうとしている右手が、金属製の義手であることに気づいたらしい。
「俺が所属してた艦隊がでかい砲撃受けたときにね、持ってかれた。」
カップを渡した後でわきわきと動かしてみせると、かちゃかちゃという金属音がする。
「肩からこれ。」
「……そう、なんですか。」
「技術の発展てすごいね。利き腕ないのに、不自由どころか懐中時計の修理できるくらいには
便利に生活できるんだからさ。」
そう言うと、小さく「はい、」と答えた彼女は、両手で持ったマグカップを口に運んだ。
そのままミルクティをひとくち飲んで。
「父が淹れたミルクティに似てます。」
と、彼女もまた少しだけ口角を上げると、作業机の隙間に軽く腰掛けながらミルクティを啜る俺を見上げる。
「………うん。森山さんがやってた淹れ方。」
そう教えれば、彼女の口角はもう少しだけ上がって。
目元がかすかに緩んだ。
「………じゃあ………早速、見る？…時計。」
マグカップを彼女の前に置いてそう言うと、彼女はくるんだ布ごと懐中時計を差し出した。
「……あの、よろしくお願い、します。」
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作者名：月華
| 作成日時：2023年3月28日 1時
