結婚披露宴２ ページ5
【それでは続きまして、同じく新郎新婦共通のご友人であります、高地優吾様、京本大我様…】
優吾たち5人が、招待席から立ち上がる。
【ここで、新郎であります田中樹様も一緒にご参加いただけるということですので、新郎様
どうぞこちらへ！】
司会のお兄さんに振られ、深澤さんたち9人と、樹の大学時代の友だちや地元の友だちの
『いかにも俺たちハイカーストの一軍です！！』と言わんばかりの皆さんがものすごく
盛り上がっている…。
「行ってくんね。」
樹が立ち上がって、私の髪に飾り付けられた、青をベースにした花の髪飾りをひとつ抜いて自分の胸ポケットに
差し込むと、またしても友人席が盛り上がる。
優吾が簡単に挨拶をして、『それでは、歌います。』とマイク越しに言うと、音楽が流れて。
ジェシーが大きく息を吸ったかと思うと、
Uh Till the end of time …
と歌い始める。
これ、さっきの9人組アイドルと同じ事務所から同時にデビューした6人組のアイドルたちの歌だ…！
え、なに、6人ともめちゃめちゃ上手い…！！
樹のラップがすごくかっこよくて、視線が釘付けになる。
歌の歌詞が、まるで私とみんなのようで。
6人が私を見て、
My life is your life
Your life is my life
My life is our life
と歌う。
自然にあふれた涙に、歌っている樹が苦笑いを浮かべている。
深澤さんたちの余興も、優吾たちの余興も。
『跡取り息子さんたちの出し物だから盛り上げなきゃならんし』っていう空気を
垂れ流しにしていた会社の偉い人たちが、目を見張っている(多分、私たちが何者
なのかまでは知らない人たちなんだろうと思う)。
音楽が止むと、友人席の人たちが歓声を上げて盛り上げてくれる。
樹の名を叫ぶ友人たちに、両手を挙げて応えながら戻って来た樹は、私の顔を見て
困ったような、嬉しそうな、そんな笑顔を浮かべて涙を拭ってくれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 448人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月華
| 作成日時：2023年1月1日 11時
