▽ ページ28
「…………キスの日…？」
「おん。ジェスが教えてくれた。」
「初めて知った。」
「俺も。」
そう言いながら、カルピスをもうひとくち口に含んで。
「……ぇ？」
タバコを指で挟んだまま、同じ手でタンブラーを持った樹くんは、
空いた方の右手で私の頬を固定して唇を重ねてくる。
「ん、」
流れ込んで来たカルピスと樹くんの舌が、甘酸っぱく私の舌に絡む。
そのまま少しの間、舌を絡め合って。唇を離したあとに引いている
透明な糸を、樹くんの舌が舐め取っていく。
「っ、」
小さなテーブルの上に置かれた灰皿に、樹くんのタバコが押し付けられて、
タンブラーもいつの間にかそこに置かれている。
「もっかい。」
「んぁ、」
今度は両腕でしっかり抱きしめられた。
樹くんから、香水とタバコの両方が漂ってくる。
タバコの苦さと、バニラの甘さが混ざったこの匂いが実は大好きで、
だからタバコを消そうとするのを押しとどめた。
散々私の唇を貪った樹くんは、熱い吐息とともに私を解放して。
「…風呂、入って来る、」
そう言って、私の手を引きながら部屋に戻った。
私をソファに座らせたら
「ファーストキスの味でも味わっといて、」
と言ってタンブラーを返してくれた。
熱くなった顔を冷ますように、両手でタンブラーを持ってカルピスを
ひとくち。
樹くん、カルピスは『初恋の味』だよ、とくだらないツッコミが
脳内でぐるぐる。
ファーストキスの味だとか、初恋の味だとか、キスの日だとか。
いろんなものが頭の中でぐちゃぐちゃに混ざって、今日の樹くんがそんな発言を
してしまったらしい、だなんてことに私が気づくはずもなく。
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月華(プロフ) - ゆうきさん» コメントありがとうございます！嬉しいです。ふとしたときに、お互いをわかってて、お互いを大好きで、というのを書きたいと思っています。大好きって言っていただけて嬉しいです。また遊びに来てくださいね。 (2023年1月3日 11時) (
レス) @page14 id: 1c32e2fa67 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - 更新ありがとうございます！！主人公ちゃんが自分の家に帰ってることもお見通しで樹くんも主人公ちゃんの家に帰ってくるのまじ最高です。月華さんのお話全部大好きです！ (2023年1月3日 2時) (レス) @page14 id: 9ee5ac8e16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月華
| 作成日時：2022年11月29日 23時
