１６５〜最終話／樹〜 ページ49
俺たちの背後にある扉が開くと、そこには俺たちの分の食事が用意されている。
みんなが楽しんでいるところを見ながら、俺たちも食事を始めた。
「婚約の儀でこんなに盛り上がってくれて、これ、結婚したらどうなるの…。」
外の盛り上がりを見ながら、Aがボソッと呟く。
「確かに。俺ら、婚約だけじゃなくて、婚姻の儀だって見たことねーしさ、どーなるんだろね。」
盃のお酒が空になって、サキコさんがお酌してくれながら「数年ぶりに当主様がいてくれて、
皆、喜んでいるんですよ。」と嬉しそうに教えてくれる。
「もうすぐ、夜が訪れるようになるのでしょう？」
サキコさんと一緒に私たちの給仕をしてくれている皆さんが、こちらもまた嬉しそうに樹に聞いている。
「そーだね。Aの修行も終わったし、結界が強化されると思うから、夜が来てもダイジョーブに
なるんじゃね？」
樹が盃を飲み干すと、サキコさんに「俺とAはお茶にして？」と伝えている。
「あら、樹さん、もうお茶ですか？」
「んー。Aは飲みなれてねーし、俺まで飲んじゃったら世話する人いなくなっちゃうべ？」
そう言って、美味しそうに盛り付けられているお膳をちまちまと食べていた。
「…A…？眠い…？」
「…うん、今日は緊張してたし、お酒が回ったかも。」
「……先に引き上げる？」
「そうしようかな。」
Aの手を取って引き上げる、と皆に断る。住民の皆にはそのまま楽しんでてほしかったし、外廊下には
出ずに、背後の扉から戻ることにした。
俺たちが引き上げても、庭からは楽しそうな声が聞こえてくる。
サキコさんたちに着替えるのを手伝ってもらって、シャワーを浴びてAを迎えに行くと、化粧も落として、
自分もシャワーを終えて、すっかりいつも通りのAがそこにいた。
俺の部屋にふたりで戻ったところでゆっくり抱きしめると、Aの腕がゆっくり背中に回る。
「…A。」
「……ん…？」
「久しぶりすぎて、今日はマジでヤバそう、」
「だから、わざわざそーゆーこと言わな…んっ、」
ベッドに横たえて、指を絡めた。
「…愛してるよ、A。」
「私も、愛してる、」
「改めて言うけど…結婚して、俺と。」
「…はい。」
泣きそうな声で返事をもらえれば、もう自分を止める理由なんてない。
そのままふたり、朝までお互いを求めるだけ。
〜神獣の末裔と暮らしてみれば 終〜
長い長いあとがき(のようなもの)→←１６４〜婚約の儀が済んだら／樹〜
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月華(プロフ) - 糸山露子さん» コメントありがとうございます。特別編といいますか、後日譚や小話などが、続編として公開されています。『この小説の続編を見る』から飛んでみてください。 (5月27日 22時) (
レス) id: 1c32e2fa67 (このIDを非表示/違反報告)
糸山露子(プロフ) - 特別編を書いて欲しいです (5月27日 21時) (レス) id: b4b34b6799 (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 凪さん» コメントありがとうございます。なんとか無事終了いたしました。ネタを思いついたら、また彼らに登場してもらうこともあると思います。読み返し、嬉しいです。これからもよろしくお願いします！ (2022年11月20日 13時) (レス) id: 86be01ea37 (このIDを非表示/違反報告)
凪(プロフ) - 完結おめでとうございます!!毎日の更新を楽しみにしていたのでちょっと淋しいです〜( ´^`° )また何度も読み返して来ます!! (2022年11月20日 5時) (レス) id: 789ab475c3 (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - ★mmiioo★さん» コメントありがとうございます。お話はもう少し続きます。ご期待に沿える内容でありますよう。また遊びに来てくださるのをお待ちしています。 (2022年11月12日 23時) (レス) id: 1c32e2fa67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月華
| 作成日時：2022年11月3日 23時
