１５８〜ふたりの時間／樹〜 ページ41
ふく先生を部屋の入口から見送って。こーちにふく先生が帰ることを伝えると、
みんなが玄関に出てきた音がする。
先生が玄関を出る音を聞いたあと、「しばらくふたりにして。」と再びこーちに
言うと「おまえぜってー無茶すんなよ。」と釘を刺された。
するわけねーだろ。
Aのところに戻って、ベッドに腰掛ける。
「…A…？」
「なぁに？」
髪を梳きながら、改めてAが生きていることを実感する。
「……もう、会えないかと思った。」
「…樹…。」
「ちゃんと説明すんね。」
改めて、何が起きたかを説明した。
桜子さんのこと。
当代…もとい、先代のこと。
呪詛のこと。
……一度、Aは命を落としたこと。
「本当はよくないことなんだろうけど…。慎太郎の能力を使った。」
「…慎太郎の？」
「ん。………鳳凰の力。」
それで、Aを生き返らせた、と言えば、Aは目を見開いて驚いている。
「…その副作用？で、Aは。……Aは、この世の終わりがくるまで。
その命が続くことになった。」
「………え…。」
「俺が、耐えられなかった。Aを失うことに。だから、Aを生き返らせて、
俺も一緒にこの世の終わりまで一緒に行こう、って決めた。」
「……へ、」
「そしたら、あいつらも俺につき合ってくれることになって。で、しょっぴーたちも
それに乗っかってくれちゃって。」
「……待って待って、それ、どういうこと…？」
「俺ら１５人と、Aは、この世の終わりが来るまで、ここでずっと暮らすの。」
「さっき、『俺らが末代』って言ってたのって、そういうこと…？」
「そう。」
Aが無言で俺に向かって手を伸ばすから、そのまましっかり抱きしめる。
「…じゅり…？」
「ごめんね、勝手なことして。」
「ううん、私、自分が死ぬ瞬間のこと、覚えてるよ。」
「…A、」
「自分が死んじゃうのも悲しかったけど、残される樹が悲しむってわかってたから、だから、」
また会えてよかった、と力の入らない腕で精いっぱい俺を抱きしめてくれる。
「……ちゅーしていい…？」
「…だから、聞かないでよ。」
変わらず恥ずかしそうな声で答えるAをそのまま横たえて、ゆっくり唇を合わせた。
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月華(プロフ) - 糸山露子さん» コメントありがとうございます。特別編といいますか、後日譚や小話などが、続編として公開されています。『この小説の続編を見る』から飛んでみてください。 (5月27日 22時) (
レス) id: 1c32e2fa67 (このIDを非表示/違反報告)
糸山露子(プロフ) - 特別編を書いて欲しいです (5月27日 21時) (レス) id: b4b34b6799 (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 凪さん» コメントありがとうございます。なんとか無事終了いたしました。ネタを思いついたら、また彼らに登場してもらうこともあると思います。読み返し、嬉しいです。これからもよろしくお願いします！ (2022年11月20日 13時) (レス) id: 86be01ea37 (このIDを非表示/違反報告)
凪(プロフ) - 完結おめでとうございます!!毎日の更新を楽しみにしていたのでちょっと淋しいです〜( ´^`° )また何度も読み返して来ます!! (2022年11月20日 5時) (レス) id: 789ab475c3 (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - ★mmiioo★さん» コメントありがとうございます。お話はもう少し続きます。ご期待に沿える内容でありますよう。また遊びに来てくださるのをお待ちしています。 (2022年11月12日 23時) (レス) id: 1c32e2fa67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月華
| 作成日時：2022年11月3日 23時
