▽ ページ39
「………じゅり…？」
襖に向かって声をかける。
「…なに？」
ゆっくり開く襖。
「…入っていい…？」
「……ん。いーよ。」
樹が体を引いて、中に入れてくれる。
「……樹、」
なんて声をかけていいかわからなかったけど、何か言う前にそっと抱きしめられた。
「………じゅり…？」
私の肩に顔を埋めて、樹がつぶやく。
「…俺、まだまだだな。」
「…え？」
「Aには、身分が違うんだー、とかエラソーに言っといてさ。自分がその線
越えてったらダメだよなぁ。」
思わず樹を抱きしめて、右手で後頭部を撫でてあげる。
「じゅり？」
「………ん…？」
「朔太くんは…嬉しかったと思うよ？」
「………。」
「阿部さんが言ってることが正しいし、そうするべきだったんだっていうのはわかるけど、
樹の気持ちもよくわかるよ。うまく言えないけど、なんていうか…今回は特別っていうか
特例っていうか…うまく言えないけど。」
「………A…。」
「きっと、ご両親はわかってるよ。あの場で樹が気安く接した意味を。ああいう場で
神獣がああいう態度をとるのは、きっと最初で最後だ、って。」
「………。」
「………泣いてるの…？」
「………泣きそう。」
顔を上げると、確かに泣きそうな顔をしてる樹。
「ありがと、A。」
微笑んだ顔は、やっぱり泣きそうで。
思わず………私から唇を重ねてしまう。
「………ぇ。」
恥ずかしくて、樹の胸に顔を埋めると、さっきまでとは違って力強く抱きしめられて、
ありがと、
と言う嬉しそうな樹の声がした。
１２４〜誕生日イベントは終わり〜→←１２３〜蒼龍、落ち込む〜
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 333人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月華(プロフ) - ﾘﾝさん» ありがとうございます。これからも遊びに来て下さるのをお待ちしてます。 (2022年10月27日 12時) (
レス) id: 86be01ea37 (このIDを非表示/違反報告)
ﾘﾝ(プロフ) - とても好きな作品です、陰ながら応援しています😌 (2022年10月27日 0時) (レス) @page23 id: b89b825fb8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月華
| 作成日時：2022年10月17日 0時
