１１３〜伝言を伝えに／北斗〜 ページ24
樹の部屋をノックするけど、返事はない。
多分、樹に「出てくるな」って言われてるんだと思う。
「お嬢？俺。北斗だけど。」
声をかけると、数センチだけ開く襖。
「大丈夫だよ、とりあえず。」
「……樹は…？」
「ごめん、ちゃんと話すから入っていいかな。」
「あ、うん、どうぞ、」
久しぶりに入った樹の部屋は、子どもの頃とはずいぶん変わっていた。当たり前か。
ふと目に入る部屋のあちこちに、樹とお嬢の濃密な時間の残滓があった。
それには気づかない振りをして、床に腰をおろして胡坐をかく。
「まず、最初から説明するね。」
「…ん。」
「あの声は、西園寺桜子さんていって、もともと田中家との縁談があった家のひとつの
家のお嬢さん。」
「そう、なんだ、」
「うん、それで、その桜子さんが、今話題のひと。樹のことが大好きなお嬢さん。」
「…うん、なんとなくやり取りを聞いてて思ったよ。」
「そっか。…で、本当は彼女は立ち入り禁止になっているこの階に入って来たから、
そこからまずトラブりそうになってて。」
「うん。」
「…で、埒が明かなさそうだったから、結界の端まで樹が送って行った。」
「……樹、が、」
一瞬で悲しそうな顔をするお嬢。
「うまく収めるためだから、心配しなくていいよ。」
「……うん、ありがとう、北斗。」
「樹がお嬢のことを大好きなのは、わかってるでしょ？」
「…わかってる。」
でも、と続けるけど、その先を言いよどむお嬢に続きを促す。
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月華(プロフ) - ﾘﾝさん» ありがとうございます。これからも遊びに来て下さるのをお待ちしてます。 (2022年10月27日 12時) (
レス) id: 86be01ea37 (このIDを非表示/違反報告)
ﾘﾝ(プロフ) - とても好きな作品です、陰ながら応援しています😌 (2022年10月27日 0時) (レス) @page23 id: b89b825fb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月華
| 作成日時：2022年10月17日 0時
