１１２〜予感では済まない予感／樹〜 ページ22
ふたりで並んで歩いていると、通りすがりの住人たちは立ち止まって
深く頭を下げている。
いつものように、やめてやめて！とは言わずに、ひたすら黙って歩き続けていると。
「樹さん。」
桜子さんが口を開く。
「なんですか？」
「私、樹さんの目にかなうために、努力を惜しまず来ました。」
「…はい。」
「はっきり申し上げますが、お慕いしているのです。」
「…ありがとう、ございます。」
「樹さんが、心に決めた方がいらっしゃるようですが。私、お妾さんでもいいとすら
思っているのです。」
「桜子さん。」
「はい。」
「ダメですよ、そんなこと言っては。」
「樹さん、」
「西園寺家の姫様が、そんなこと言ってはダメです。きちんとした嫁ぎ先を、」
「私は！」
「そーりゅーのにーちゃーーーーん！！！」
後ろから呼び止める声は、朔太だ。
立ち止まって振り返ると、手を振って走ってくる朔太がいた。
「朔太。どうした？」
「見つけたから、こえかけた！つぎにあったら、いっしょにいっていーんだろ！？」
朔太の後ろの方から、朔太の両親が走ってくるのが見える。
「こら！いい加減にしな！」
大変な失礼を、と言ってもう土下座の勢いのふたりに、さすがにそれは止める。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 333人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月華(プロフ) - ﾘﾝさん» ありがとうございます。これからも遊びに来て下さるのをお待ちしてます。 (2022年10月27日 12時) (
レス) id: 86be01ea37 (このIDを非表示/違反報告)
ﾘﾝ(プロフ) - とても好きな作品です、陰ながら応援しています😌 (2022年10月27日 0時) (レス) @page23 id: b89b825fb8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月華
| 作成日時：2022年10月17日 0時
